一粒万倍
ちなみに野口のタネのHPによると、菜っ葉の種は、一粒から約一万倍に増えるそうですから、それこそ字面通り一粒万倍です。
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米1粒から一つの稲穂ではない・・・という事実を知って意外だったので、前置きが長くなってしまいましたが、本題に戻ります。稲は一粒万倍とまでは行かなくとも、一粒蒔けば1000粒以上の粒にもなるわけですから、実った稲のごく一部を来年用に回し、9割9分9厘を食用に出来るわけです。稲に限らず、多くの野菜は、来年の為の種用に少し残せば残りは食用に出来たのです。種を食するのでなければ、全部食べても種は残せたのです。種はそのようにして昔から延々と遺伝子を受け継いできたのです。樹木になる実なら、毎年種を蒔かずとも何年間も実がなり、食べられました。・・これが自然の摂理であり、ごく普通の日常でした。
ところが、農家以外の多くの人が知らぬ間に、そんな「普通のこと」ができないような世の中に進んでいるのです。F1品種が流通するようになり、種は自家採種するものから、業者から買うものに変わりました。商用の為に雄性不稔のいわゆる奇形種を増殖させています。そして、まだ実用化されていないとは言え、遺伝子組み換えで、ターミネーターテクノロジーやら、トレーターテクノロジーやら、とんでもない種が作られています。狂った未来を描いたSF映画が現実のものとなりそうな危険が迫っています。
一粒万倍ならずとも、一粒で1年で仮に100倍になるとしても、2年で1万倍、3年で百万倍、4年で1億倍です。・・・これはある意味、指数関数的増加の危険性も示していますが、一方、簡単に盛り返す事も出来ると言う事です。現在日本では、固定種は風前の灯状態です。大規模農家の殆どはF1品種を栽培し、固定種は、一部の有機農家などの小農、家庭菜園をやっている人々が細々とやっていると言うのが現状です。固定種の専門店も、日本に野口種苗一軒だけです。(他にも固定種を扱っているところはあるようですが、固定種の専門店ではないようです。)健全な固定種が絶滅していくのは非常に悲しい事です。是非とも固定種を守るべきです。今すぐにでもF1品種から固定種に切り替えれば、「一粒万倍」ならぬ「一粒百倍」の固定種はどんどん増えて、数年で日本中の畑に実る事でしょう。風前の灯の固定種も、確かな情報を広め、法律を整備するだけで十分に間に合うでしょう。そのような正常な社会に戻るべきです。
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