恋愛フォビア

川原泉についてちょろっと書いたら予想外に大きな反響があり、戸惑っている。みな、川原泉ではなく、性的マイノリティーについて語りたがっている気がしなくもないが。川原ファンの複数の知人と話をして、このひとはゲイフォビアではく恋愛フォビアだという一応の結論を得る。おそらくセックスが紐帯になっている人間関係がリアルに感じられないのだ、彼女は(完成度が高くなればなるほど、川原作品からは恋愛の匂いがしなくなる)。まあ、これで話を終わらせるのはもったいないので、今後も機会があれば川原泉については論じたいと思っているが、そのためには星雲賞受賞作の『ブレーメンII』を読まなきゃね。
それでは以下、オレ個人に向けられていると思しいテクストに対して、ささやかな反論と釈明をば。
http://d.hatena.ne.jp/miyakichi/20060819#1155969493
えーと、言語にはデノタシオンだけではなく、コノタシオンがあり、日常的なコミュニケーションにおいてはコノタシオンのほうが重要になるのは知っていますよね、miyakichiさん。蛇をどれだけ辞書・事典的に厳密に定義しようが、それによって蛇に対する恐怖が減らないのと同じく、「辞書にそのような意味はない」のを理由に、「性的マイノリティーは『引かせる』存在ではない」と説明しても説得力は持たないでしょう。まあ、オレが英語を苦手とするのは微塵も疑う余地のない事実で、だからこそ英語よりは規則的で覚えやすいフランス語を愛するようになったのですが。
http://d.hatena.ne.jp/HODGE/20060818/p1
オレが川原泉ボーイズラブの「『利害』と関わって」いると想像するのは(BL産業に携わる知人も、少女漫画を描いている知人もいますが、いずれもビジネス上の付き合いではありません)、HODGEさんなりのレトリックでしょうか。もしレトリックではなく「本気」だとしたら、関係妄想でしかありません。