あにめマブタ

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アニメキャラの目元表現(『アイドルマスターシンデレラガールズ』神埼蘭子の眉毛)

みんな、神埼蘭子の眉毛見てる?(なんて挨拶だ)

 アニメもやっぱり絵だから、目元の表現ってちょっと命みたいなところがあるし、キャラクターによって描かれた方も個性が出る。
 たとえば『アイドルマスターシンデレラガールズ』の神崎蘭子は、他のキャラクターとは眉毛の描かれ方が違うんだな。

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 ちょっと見えづらいか、拡大してみます。
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 どうやら、実線でシャシャシャッとまず眉頭(まゆがしら)から眉毛を描いてある。で、眉尻(まゆじり)に向かって伸びる眉毛の外側のラインは、実線ではなくて、塗りで表現すると。(キャラクターデザインは松尾祐輔さん。)
 1枚目の緒方智絵里の眉と比較してみると、概念としては次のような感じだ。(本当は智絵里やかな子と眉の下にも、影が置いてあるのだけども。)

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 (プロの絵と並ぶのは恥ずかしいな…。)
 つまりどういうことか。これはどうも、化粧の表現としてこういうことをやっているんじゃないかと思う。

太眉、ボサ眉メイクの流行

 平安時代の女房は、『かぐや姫の物語』でも描かれてたように、眉毛を全部抜いて、そのあとに眉の色の化粧をしたという。(今で言う「まろ眉」だ)
 で、日本でも90年代、ビジュアル系とダンサー系から入ってきた文化として、キレキレの細い眉、細眉が流行になっていたと思う。アムラーとかね。これも眉はがっつり抜く。

 ただ、ちょっと時代を下って2010年代くらいになると、ナチュラルな太めの薄い眉、太眉、ボサ眉(毛の感じを残した眉)が流行ってくるのだと。
 80年代バブル、トレンディドラマの時代にも太眉はあったんだけど、それはギュッと上がった太くて濃い眉だったんだな。今は下がり眉、平行眉(眉尻に向かって上がりも下がりもしない)で、全体的にぼかしたような薄い眉がトレンドなんだという。(更に詳しくは下記参照。)

 話を戻すと、蘭子の眉って、シャシャっと描いた部分がボサ眉(毛の感じを残した)だよね。
 で、眉全体のフォルムは太めに塗って、かつ実線ではないわけだから、眉用の化粧品(ペンシルやパウダー)で、薄めの太眉を作ってる感じに仕上げてあるわけ。(化粧詳しくないから間違ってたらごめん。)
 蘭子はゴスロリ衣装で目元もパッチリしているので、普通の細眉にしてしまうと、全体的なイメージが鋭すぎる感じになってしまうんだろうな。反対に性格はすごく素朴だから、そのギャップ感をキャラクターデザインに表出させていく、となると、こういう優しい感じの眉にしてくれているのは、嬉しいよね。

 個人的な好みを言えば、太眉ボサ眉ってすごく好きで、今回アニメで蘭子が登場した時、「この子かわいいな!」って一番驚いたのが蘭子だったくらい。本当これ最高なので、二次創作で蘭子のイラスト描かれる方は、ぜひこれで再現してほしい。


 今期だと『SHIROBAKO』で描かれたように、原作の絵が存在する場合でも、アニメのキャラクターデザインという仕事は、視聴者が想像する以上に重要で、そして細かな工夫に満ちている。
 たとえば最近観たアニメで、キャラの眉毛のラインは髪の毛に隠れるか、それとも隠れないか、言われるとどっちだったかわからないけど、キャラ表にはきっちり指定してある。カメラが引いた場合に、瞳のディテールはどの部分から省略されるか、コマ送りしてみるとおもしろい。
 アニメのキャラクターデザインについては、こういう個人のアニメブログで取り上げられることも少ないので、たとえば二次創作でイラストを描いてるときに気付いたこと、という形で、イラスト描いてる人が教えてくれると嬉しいね。

 まとめていこう。アニメには美人が多く登場する。美人の基準は移り変わっていくものなので、キャラクターデザインにも、それが反映されていくのかもしれないな。

※あわせて読みたい

※太眉に関するメイク、もうちょっと詳しいものは以下。
芸能人メイク担当が教える《太眉&平行眉の作り方》動画と書き方のコツ! - NAVER まとめ
ナチュラルなボサ眉はアイブロウペンシルだけでできちゃうんです♡|MERY [メリー]

 最後に、最近よかった目元表現を挙げて、終わりにします。

最近かっこいいと思った目元表現

■『ローリング☆ガールズ』1話より。
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 ちょっと古めかしいファッションのキャラなので、眉もキメキメの細眉。ここはやはり、バサバサのまつ毛表現がかっこいい。向こう側の眼球の丸みや虹彩のくぼみかた、まつ毛の「面」の感じもいい。(加えて言うと、このカットは唇のジェルっぽい質感とアニメーションも素晴らしい。)
 眉の筋肉が盛り上がった下から見えている眼窩の線も、非常に解剖学的で良い。

■『神様はじめました◎』1話より
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 まつ毛のフォルムを実線で描くやり方。上まつげ、下まつげのどちらもバサバサに描いている。
 スタンダードなまつ毛なら、目のラインの端っこに2、3本まつ毛を描くのだけど、このアニメはこういうバサバサまつ毛表現をたくさん使う。
 試しに描いてみると分かるのだけど、この描き方できっちりとしたフォルムを維持するのはめちゃくちゃ難しい。本作の作画は、キャラクターデザインの再現という意味で、驚くほど高いレベルをキープし続けているんだけど、それを示す一端が、このまつ毛作画だ。

■『アイカツ!』103話より
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 本作がリッチなのは、虹彩表現だ。
 虹彩はカメラで言うところの絞り、光の入る量を調節する器官。虹彩認証という技術もあるように、人間ひとりひとりが全く違う虹彩を持っているという意味で、非常に個性の見える身体の部位のひとつといえる。
 また、副交感神経のはたらきで、緊張すると瞳孔がすぼまるので、感情表現としても使われることが多い。(『たまこラブストーリー』での表現は必見。)
 『アイカツ!』ではまるで少女漫画のように、リッチな描き込みで虹彩が表現される。ポンポンと眼球の下部に置かれたポイントでの塗りは全て色が違っており、数えてみると、目を描くのになんと合計7色が使われている。クリエイターのこだわりが詰まった目のデザインだ。

 本日は以上です。