やしお

ふつうの会社員の日記です。

新型コロナワクチン時系列

現在のワクチン

 現在世界で承認している国が多いものは以下の8種類ほど。
 日本はファイザー、モデルナ、アストラゼネカの3種を承認済み、J&Jが承認申請。

【mRNA】
 ファイザー(米)(ビオンテック:独)
 モデルナ(米)
【ウイルスベクター】
 アストラゼネカ(英)(オックスフォード大:英)
 ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)(米)
 ガマレヤ研究所(露)
 セラム・インスティチュート・オブ・インディア(SII)(印)
【不活化】
 シノバック(中)
 シノファーム(中)


概要

  • 20å¹´1月:感染が世界に拡大
  • 1~2月:各国で開発開始
  • 3~4月:臨床試験開始
  • 5月~:量産体制構築
  • 6~8月:各国政府が製薬会社と供給契約を結び、確保競争
  • 11月:ファイザー、モデルナ、アストラゼネカが臨床試験完了
  • 12月:米英EUなど接種開始


 
 中国とロシアは欧米と動きを異にしている。

  • 米国等へワクチン情報を狙ってサイバー攻撃(中国は20å¹´5月、ロシアは7月にサイバー攻撃が報道された)
  • 未承認のまま自国のワクチン接種を開始(中国は20å¹´7月、ロシアは8月)(9月に米国トランプ政権も追随しようとしたが、FDAと製薬業界が反発して頓挫)
  • 自国ワクチンを途上国へ供給して影響力を強めようと「ワクチン外交」を展開

 


 日本は、

  • 自国内でのワクチン開発は遅れ、20å¹´6月時点で国内から海外調達へ切り替え
  • ワクチン確保自体は欧米と同等のタイミングでできた
  • 接種開始は欧米の2ヶ月遅れ(70ヶ国以上が先行)(副反応の調査のため日本国内で160人分の追加試験を実施したため)
  • 接種スピードは120万回/日を達成しかなり上がった
  • その後メーカーの供給が滞り、特に高齢者以外で接種が鈍化(政府が供給不足を認識しつつ公表せず、自治体や企業へ接種体制の構築、場所や医療関係者の確保をさせ続けたことで混乱と反発を生んだ)
  • ワクチン外交:21å¹´6~7月に東南アジア6ヶ国へアストラゼネカ(当時は国内で使用予定がなかったもの)を無償提供

 

時系列

 日本で接種が始まった21年1月以降は日本のニュースが中心。改めて読むと「そんなことあったな」という気持ちになる。


【20年1月】

 

【20年2月】

 

【20年3月】

  • æ—¥:阪大発ベンチャー(アンジェス)が開発着手→動物試験用ワクチン開発
  • æ—¥:田邊三菱が開発着手
  • ç±³:モデルナ臨床試験開始
  • ç±³:J&Jが2021年初めに提供開始と発表
  • ç±³:トランプ大統領がキュアバック(独)に独占契約を持ちかけた、確保競争が始まっていると報道
  • ç±³:ワクチン等開発に30億ドル超を充てる予算成立
  • ç±³:ファイザー、ビオンテック(独)と提携発表
  • 中:人民解放軍が開発、臨床試験開始

 

【20年4月】

  • æ—¥:塩野義、第一三共が開発着手
  • ç±³:イノビオ臨床試験開始
  • 英:オックスフォード大 臨床試験開始
  • 英:政府がワクチンタスクフォース立上げ
  • サノフィ(仏)、GSK(英)が提携
  • 中:臨床試験が世界初の第2段階に進む

 

【20年5月】

  • æ—¥:KMバイオロジクスが開発着手
  • æ—¥:20年度補正予算から4社(アンジェス、塩野義、IDファーマ、KMバイオロジクス)+5大学・研究機関に計100億円の支援決定
  • ç±³:政府がワープスピード作戦立上げ
  • ç±³:ファイザー・ビオンテック臨床試験開始
  • ç±³:モデルナ、ロンザ(スイス)と生産提携発表
  • 英:アストラゼネカ(オックスフォード大と契約)が生産体制を整え9月から供給開始を発表
  • 中:ワクチン情報を狙い米国をサイバー攻撃
  • 中:カンシノ・バイオティクス、第1相臨床試験完了
  • WHO:世界全体で124候補、10種類が臨床試験に入っていると集計
  • WHO:公平利用の枠組みを立ち上げるが米中が不参加

 

【20年6月】

  • æ—¥:アンジェス、臨床試験開始
  • æ—¥:政府、アストラゼネカとワクチン供給で協議入り(国内開発が出遅れ、海外調達・確保を図る)
  • æ—¥:安倍首相、ネット番組で「年末には接種かも」と発言→厚労省内からは懸念の声
  • æ—¥:厚労省、21年前半の接種開始目標
  • 英国政府がグローバルワクチンサミットをオンラインで開催。途上国のワクチン普及に88億ドル、日本は3億ドル拠出表明
  • 独:キュアバックの臨床試験開始
  • 中:科学技術部「開発・試験が完了したら全世界に提供」と表明
  • 量産用の培養タンク争奪が世界で激化と報道

 

【20年7月】

 

【20年8月】

 

【20年9月】

  • æ—¥:政府分科会、接種無料化検討
  • æ—¥:政府、確保に6714億円の予備費支出を閣議決定
  • æ—¥:IOC会長「五輪はワクチンなしで開催可」発言
  • 英:アストラゼネカ、副作用で世界中での治験中断→再開
  • ç±³:政府が中露に続き試験完了前の承認を進めようとするがFDA、欧米製薬9社が声明を出して牽制
  • ç±³:J&J臨床試験開始
  • ç±³:イノビオ臨床試験差し止め(実施計画の不備)
  • WHO:共同購入の枠組み(COVAX)に156か国・地域が参加(米中露は不参加)→米は自国第一で確保、中露はワクチン外交で発展途上国への影響力拡大を目指す
  • UAE:シノファームを承認(中国以外で初)
  • 空輸・物流計画が始まる

 

【20年10月】

  • æ—¥:予防接種法改正案閣議決定(接種費用無料・健康被害の救済措置・企業の損害賠償を国が肩代わり)
  • æ—¥:菅首相「来年前半までに全国民提供の数量確保を目指す」発言
  • æ—¥:田邊三菱のカナダ子会社、カナダ政府と供給契約締結
  • æ—¥:厚労省、モデルナ2500万人分確保(輸入・販売は武田薬品が担当)
  • ç±³:J&J臨床試験一時中断(参加者に原因不明の症状)
  • 中:COVAXに一転参加表明、国際協調を演出、不参加の米国を牽制
  • YouTube, Facebook、ワクチン接種を妨げる動画・広告を禁止

 

【20年11月】

  • æ—¥:厚労省、高齢者・基礎疾患のある人へ優先摂取の方針を発表(妊娠中の女性はデータがなく見送り)
  • ç±³:ファイザー、モデルナ各最終治験の結果公表、緊急使用許可をFDAに申請
  • 英:アストラゼネカ最終治験の結果公表

 

【20年12月】

 

【21年1月】

  • æ—¥:接種推進担当大臣新設、河野担当相「高齢者向け接種開始は早くて4月」と発言
  • æ—¥:厚労省、医療機関等1万ヶ所を拠点とする方針決定、冷凍庫1500台を2月末、1万台を6月末までに配布目標
  • æ—¥:厚労省の接種システム(V-SYS)と河野担当相主導の新システムが平行で開発
  • æ—¥:厚労省と川崎市、集団接種訓練実施(国内初)
  • æ—¥:ワクチン期待感で内閣支持率52%に上昇。首相「接種で雰囲気が変わる。安全安心な大会(オリパラ)実現を決意」発言
  • æ—¥:自民党プロジェクトチーム立上げ
  • ç±³:ファイザー、モデルナ、変異型への有効性発表
  • ç±³:J&J 最終治験結果公表・接種1回で効果有、緊急使用申請
  • 印:周辺国に無償提供でワクチン外交、中国に対抗
  • EU域外輸出規制強化・先進国による欧米製囲い込み→WHOが非難。アフリカ・南米諸国が中国製に頼り始める
  • 世界56か国で接種開始(日本はG7で唯一開始できず)、1回目の接種がイスラエルは人口の3割、UAE2割、英6%、米4%で完了

 

【21年2月】

  • æ—¥:ファイザー承認、接種開始(欧米から2ヶ月遅れ)
  • æ—¥:河野担当相「4月までは供給量非常に限られる」発言
  • ç±³:J&J承認

 

【21年3月】

  • æ—¥:河野担当相「ファイザー1億回分6月末までに到着」発言
  • æ—¥:第一三共、KMバイオロジクス、臨床試験開始
  • ç±³:CDC、完全接種者のマスクなし集まり可の指針発表
  • ç±³:バイデン大統領「4月末までに2億回接種目標」発言(12月に「4月末までに1億回目標」と発表したが3月で達成したため上方修正)
  • EU:J&J承認
  • WHO:COVAX供給の接種開始

 

【21年4月】

  • æ—¥:高齢者(65歳以上)優先摂取開始
  • æ—¥:菅首相「9月までに国内対象者への必要分供給をファイザーCEOに要請」発言
  • æ—¥:河野担当相「感染拡大地域への優先配分は、GW明けに十分供給できるため不要」発言
  • EU:アストラゼネカ、血栓が接種と関連の可能性発表、EU各国は高齢者のみの採用を発表
  • イスラエル:屋外マスク不要宣言

 

【21年5月】

  • æ—¥:モデルナ、アストラゼネカ承認、J&J承認申請
  • æ—¥:厚労省、ファイザー接種16歳以上から12歳以上に引き下げ方針
  • æ—¥:自衛隊大規模接種センター(東京・大阪)運営開始。予約システムの不備を報じた朝日・毎日新聞に岸防衛相「極めて悪質」、安倍前首相「妨害愉快犯」と名指しでツイート、防衛省が抗議文送付(同内容を報じた日経にはなぜか抗議せず)
  • æ—¥:政府、職域接種6月中開始の方針(モデルナ使用)
  • æ—¥:菅首相「7月末までに高齢者2回接種完了、100万回/日目標」発言(その後120万回/日を達成)
  • æ—¥:茂木外相「台湾への提供検討」発言
  • æ—¥:河野担当相「ファイザー7千万回分が7~9月、残り2400万回分も10~12月調達見込み」発言
  • æ—¥:田村厚労相「65歳未満接種は基礎疾患の有無で分けない、年齢でも優先順位は決めていない、自治体に任せる」発言
  • ç±³:バイデン大統領「7/4までに1å„„6千万人接種完了目標」発言(「4月末までに2億回」の目標は2.2億回で達成済み)

 

【21年6月】

  • æ—¥:台湾へ120万回分、ベトナムへ100万回分無償提供(アストラゼネカ)
  • æ—¥:職域接種、大規模接種の申請を休止。モデルナ5000万回分9月末までに対して上限に迫ったため
  • æ—¥:菅首相「全希望者接種10~11月完了」発言
  • ç±³:第1å¼¾2500万回分をアジア・中南米・アフリカ各国へ提供開始。自国第一から国内の感染落ち着きで他国開放姿勢に転じる
  • 英:接種完了者でもデルタ株感染拡大するが重症化率は低いとの報道
  • イスラエル:人口の5割超がファイザー2回接種済みだがデルタ株で感染再拡大、マスク着用再義務化

 

【21年7月】

  • æ—¥:インドネシア、タイ、フィリピン、マレーシアに各100万回分無償提供(アストラゼネカ)
  • æ—¥:高齢者2回接種完了74%、菅首相「7月末完了の目標を達成できた」発言。64歳以下は4%完了
  • æ—¥:国からの供給量減少で自治体での接種一時停止・予約キャンセルが広がる
  • æ—¥:河野担当相「モデルナ供給量が当初予定の6割、職域接種の7月中開始は厳しい、8/9以降再開見込み」「自治体配送分のファイザーは供給量が希望量の3分の1、自治体で接種スピード調整してほしい」「9月末までの必要量は確保済み、追加調達はしない」(厚労省はその後モデルナ5000万回分の追加供給契約を締結)
  • æ—¥:菅首相「ワクチンは自治体に送った、自治体で滞留している」発言→自治体から反発
  • æ—¥:菅首相「ワクチン一本で行く」、二階自民幹事長「政治も政局も全てワクチン次第」発言
  • æ—¥:厚労省、供給不足の対応でアストラゼネカを40代以上に接種検討(これまではファイザー、モデルナのみ)
  • æ—¥:河野担当相、ファイザー在庫の多い自治体への配分1割削減方針を出すが、自治体反発のため撤回
  • ※5月の菅首相方針に基づき厚労省→各自治体、経産省→各企業へ接種体制を急ぎ準備させたが突然「メーカー供給不足」「ファイザー納入分の4割は行方不明(医療機関・自治体で滞留しているかもしれないが把握してない)」と政府が回答、反発が広がった状況。河野担当相の発言では「モデルナ供給量減少はGW前に把握」できていたが、菅首相方針に合わせて強行させていたため不信感が増大した
  • ç±³:接種完了後もマスク着用推奨へ2ヶ月で方針転換

 

【21年8月】

  • æ—¥:アストラゼネカの自治体への供給開始
  • æ—¥:田村厚労相「ファイザー1å„„2000万回分追加供給を協議中」
  • æ—¥:1回接種が国民の5割を超える(高齢者の1回接種は88%で、総人口に占める高齢者人口は28%なので、「1回接種5割」のうち半分が高齢者)。2回接種は4割
  • æ—¥:河野担当相「職域接種の申請済み(順番待ち)企業・大学への供給を8/23の週から開始」(7月に8/9再開見込みと出していたため、各企業・団体は会場・人員の再確保等に苦慮)
  • イスラエル:60歳以上のファイザー3回目接種開始、発症予防効果の結果公表

 


個人的な話

 先日ワクチン2回目を打って、自分の身の回りの状況や思うところをメモに残しておこうと思った。そういえば全体的な時系列ってどんなだったっけ? と思って、ついでに調べてみたのが↑だった。


【職域接種】

  • 会社で7月頭に「職域接種を受けたいかアンケート」が来た。
  • その1週間後に実施の案内が来た。
  • 当初は「家族もOK」が「希望者が多く家族は無し」になった。
  • 社員の希望者も多かったため抽選になった。
  • ただ「正社員だけ」ではなく「働く人全員(派遣社員等)対象」なのは良かった。
  • 自分は同居のパートナーとは、婚姻届けは出していない、住民票上の続柄は「妻(未届け)」に変更済み、会社には未届け、という状況だった(苗字をお互い変えたくなかったので)。もし家族OKでも、パートナーは受けられなかった。こういうところで不利になるのねと思った。
  • 会社によっては「婚姻届けは出してなくてもパートナーOK」のところもあるらしい。
  • 応募した。その時点で自治体の接種開始時期も不明だったので、受けられるなら早い方が良いかと思って。
  • 当たった。当選率は6~7割だったらしいが、同じ職場でも結構落ちている人がいた。申し訳ないような、後ろめたいような気持ちになった。
  • 応募から2営業日後に当選のお知らせ、その2日後に接種当日、という時間間隔で、結構急だった。
  • 接種は5営業日連続で実施。自分が当たったのはその初日だった。
  • 会場は会社内のワンフロア。初日でもオペレーションは極めてこなれていてスムーズ。どこかで人が滞留するということもない。スループットの低い工程が複数ラインになっており、全体でボトルネックが発生しないようになっていた。ノウハウを提供するコンサルみたいなところがあるんだろうか? と思った。
  • 海外赴任の医療アドバイスやワクチン接種を専門とする医療機関と従来から会社が付き合いがあり、そこに委託しているようだった。他の企業での実施ノウハウが蓄積されていたのかもしれない。
  • 5週間後に2回目接種。同じ曜日と時間、同じ会場。レイアウトが1回目と若干変わっていて、さらにスムーズになっていた。接種後15分様子見を除けば、受付~接種まで5分もかからなかった。
  • 元々、会社の別の事業所で第2回目が予定されていたが、「ワクチン供給見通しの連絡が来ないため中止」とのアナウンスが出た。最初の案内で「次があるから」とスキップした人は受けられなくなってしまった。

 


【接種後の体調】

  • 職域接種なのでモデルナだった。
  • 1回目の後は腕が痛くなっただけで、それ以外は特に何もなかった。
  • 2回目の後は腕が痛いのは1回目と同じ。翌日の昼過ぎから発熱があり、解熱剤を飲んだが37℃台後半をずっとうろうろしていた。翌々日は平熱に戻った。接種した箇所の付近が赤くなり、3日ほど続いた。

 


【接種の時期】

  • ツイッターとかでも、6月半ばくらいから医療従事者でも高齢者でもない人がちらほら接種していた。自衛隊の大規模接種会場だったり、職域接種だったり。自分の会社ではアナウンスがまだないし、自治体もいつ始まるのか分からなくて、ちょっと焦りに似た気持ちが出てきた。
  • 住んでいる川崎市は、7/7に59歳以下の予約開始時期が公表された。「39歳以下」が一番遅くて7/31から予約開始だった。
  • 隣の横浜市は予約開始日の公表が8/4、39歳以下は8/23から予約開始とニュースで見て、隣の市で1ヶ月遅れ。自治体ガチャだわねとも思った。
  • 妻の勤務先では予定されていた職域接種が供給不足(というか供給サイドから連絡が全然来ないらしい)で中止になってしまったという。自衛隊の大規模接種なども検討したが、結果的には市の8月末の接種を予約した。7月末の予約開始直後にウェブサイトに入って、みるみる間に予約が埋まっていく中で、無事に取れて本当に良かった。市の予約サイトそのものはよく出来ていたと聞いた。
  • 職域接種も中止になったり抽選だったり、「たまたま受かる」「たまたまその会社で働いていた」の運次第。
  • 自衛隊のも自治体のも予約が取れるか運次第。医療機関の個別接種も、予約方法がバラバラだったり「たまたま空きがあるか」の運による。
  • 自力で方法を調べて辿り着かないといけない、辿り着けても運次第っていうのは、かなりつらい。何なんだ、という気はした。

 


【その他思うところ】

  • 今の体制(クリニックの個別接種、自治体の集団接種、自衛隊の大規模接種、企業や大学の職域接種と選択肢が複数あり、本人が選んで受ける)は、「ワクチン供給が潤沢である」が前提のとき、初めてフェアで合理的なシステムになる。
  • 供給が不足すると、そのシステムは、在住自治体・勤務先・予約タイミング等に激しく左右される「運ゲー」に陥る。末端の供給者・利用者の判断・対応の負荷が増大する。
  • 「運ゲーになる」と運良く打てた人とそうでない人の間で不公平感が生じる。
  • 申し訳無さが発生したり、ずるいといった対立感情が無用に発生する。(私自身、まだ打てていないパートナーだったり50代の同僚などに一種の申し訳無さに近い感情を抱いてしまう)
  • 供給が限られる状況では、明確で納得性の高い優先順位付け(年齢・職種・地域・持病・妊娠の有無等に基づく)が公表され、その順に従って受けられることが、公平感の担保に繋がる。
  • さらに「従来より感染力も重症化率も高い」「接種者は感染するが重症化率は相当低い」というようなデルタ株が広がる中では、その優先順位付けは、公平感という感情の問題ではなく、現実の死者数に直結する。
  • 方針・方策を下方へ下方へと丸投げすると、全体最適は望めない。個人が予約を取るのに四苦八苦し、非優先的な人が先に接種したり、自治体間で対応速度に差が出て、感染拡大地域の方が接種が遅くなったりする。
  • 「供給不足は5月時点で政府は把握していたが、それを伏してそのままの体制で進めさせた」と報道されている。「ファイザーの不足分はモデルナでカバーされるから問題ない」と説明を受けて準備を進めた自治体があったとも報じられた。
  • メーカーからの供給が当初予定より不足したこと自体は、政府の瑕疵ではない。
  • しかし「供給が滞った場合」の方針を定めず、その状況を秘匿して進めさせるのは、不誠実・不合理だ。
  • ワクチンに限らず、「方針・方策を下方へ丸投げする」「望まない状況が到来した場合のプランを事前に検討・準備しない」は現政権で顕著だ。
  • それは下部での混乱と対立を招く。
  • 自粛しない若者、営業する飲食店、旅行した個人、五輪に参加した選手、テレビ観戦を楽しんだ市民、ライブイベントに参加したミュージシャン、病床拡大要請に従わない医療機関、などが非難される。
  • 彼らより、彼らがそうせざるを得ない環境や状況を生んだ側の責任の方が大きい。
  • 市民間のみならず、政権がその非難に加担するのは、責任転嫁だ。
  • その種の為政者のごまかしやイメージ形成は、この10年弱で習慣化した。