「Googleはとっつきにくいから親切なYahooを使う」のは、案外大多数の意見なのかもしれない

ブログで情報を発信していても、Googleを使いにくいと感じるねじれ

一昨日、世話になっている方の自宅に招かれた折、大学生と高校生のご子息とウェブの話をする機会があった。youtubeの動画をローカルにダウンロードする方法をおもむろに訊かれて、はてブの人気エントリーからそれらしいページを掘り出して講師ヅラをして帰ってきたのだが、ブログと検索エンジンの使い方に関して興味深い話を聞けたので書き留めておきたい。
兄はライブドアで、妹はgooでブログを開設しているとのこと。若い世代とブログの話ができる、と嬉しくなり、思わず「”はてな”って知ってる?」と水を向けると「はてなって、なに?」との答え。まあブログサービスとしてはまだ中堅止まりだから知らないのも止むなしか。ならGoogleを引き合いに出してGoogleの日本版みたいなものを目指している会社なんだよと説明すればわかりやすいかと仕切り直して「Googleを検索に使ってる?」と尋ねてみる。返ってきた答えは「検索はYahooを使う。Googleはとっつきにくそうでよくわからない」「Googleのトップページは真っ白で面白くないので使わない」。なんだか頭がくらくらしてきた。そうですか、とこの場は引き取った。

彼らはブログで情報を発信しているし、わからないことがあれば検索エンジンで情報を探すほどのリテラシーを身に着けている。時流のサービスにそれとなく乗り、安心で確実な結果を返す検索エンジンを生活に採り入れている彼らは、流行をカジュアルかつ身軽に消費している若い世代の典型のようにも思える。ウェブに対して必ずしも受け身でなくても、検索ではなぜGoogleではなくYahooに親しんでいるのか、興味深く感じたのはその微妙な「ねじれ」に対してである。

Yahooを使っていれば満足できる

その夜のできごとが頭から離れなかったのは、「Googleが攻勢をかける現在にあっても日本ではYahooの優位は揺るがない」と考察したエントリを読んでいたからである。

別にYahooでいいじゃん、不自由しないよ?
というのがニッポンのネットユーザ多数派の意見なのではないかと。勿論技術的にはGoogleのほうが検索でもMAPでも先を行っているとはいえ、日本人は能動的に情報収集する世界とは縁遠いように感じるのである。
キャズムを超えろ! - ニッポンでGoogleは一般化するか? その2

高品質だが多様性のないコンテンツの消費に慣れ切ってしまうと探究心が薄れ、YahooやMSNが返してくる検索結果だけで十分に満足してしまうのではないか?
キャズムを超えろ! - ニッポンでGoogleは一般化するか? その2

Yahooのトップページには、ニュースやオークションからカテゴリ別のサイトまで、これといった目的がなくても立ち寄れるサービスがこれでもかと感じられるほど揃っている。
検索でも、「ホンダ」を検索窓に放り込めばホンダの株価やショッピング、オークションの情報まで、労せずとも関連情報にアクセスすることができる。
てんこ盛りの情報のシャワーから逃れて無骨なGoogleに足場を移すのは、やはりそれなりの動機が必要だ。
何となく欲しいと思える情報がYahooを手繰れば高い確率で手にできる状態で、「真っ白で不親切」なGoogleをなぜわざわざ使う必要があるのだろうか?

ネットを軽快に使えればそれでいい

日本のウェブの人口が7000万人を超えても、ソーシャルブックマークの認知度が1割に届くか届かないかという現在にあって、大多数のネットユーザはウェブを「バリバリ使いこなす」よりかは「調べものや、コミュニケーションするときにちょくちょく使うもの」程度に捉えているのではないかという気がしている。
信頼度の高い検索エンジンで、あらかじめ周到にパッケージ化された情報を検索して軽快に消費する。
上手く言えないのだが、Googleが骨の随まで「使いこなす」サービスなら、Yahooは身軽に「着こなす」サービス、とでも喩えればよいのだろうか。
あの夜感じた違和感は、意外と広く当てはまるのかもしれない。

6月13日追記:

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