ウェブに触れるきっかけは、「利用」というよりもはや「参加」ではないだろうか

「インターネットにつなぐとしてもせいぜい週に1回、調べものをする程度しか使わない」知人がいます。彼からおもしろい話を聴きました。
「最近のインターネットは息苦しい」というのです。
なぜだろう? それとなく訊いてみると
「少し関心を深めようと思ったら、“あなたは誰?”とそれとなく尋ねられる。別にこちらは知りたい情報を調べるときにだけインターネットを使えればいいのに、なにかしらログインやユーザ登録の画面に突き当たることが増えた」とのこと。
彼が何を言いたいのかしばらくよくわからなかったのですが、少し考えてみるとインターネットに触れるきっかけがここ数年で大きく変わってきたのではないか、と思い返しました。

ウェブに触れる段階があるとするならば

一般的なユーザがウェブに触れる段階がいくつかあるとすれば、思いつく限りでは下記のように分けられるでしょうか。

  1. 利用
    • 単にウェブを閲覧する、情報を検索すること。
    • ウェブから与えられた情報を拾う限りにおいては、これで十分。
  2. 参加
    • 掲示板などに意見を書き込む、ブログのコメント欄に書き込むこと。
    • ウェブサービスにユーザ登録して、自分のアカウントを持つこともこの「参加」にあたるでしょうか。
  3. 主張
    • 自分の意見を発信できる空間をウェブに持つこと。
    • 自分のサイトやブログを持っている状態。
  4. 交流
    • 自分の意見をもとに、他のサイトやブログとウェブ上でコミュニケーションをすること。
    • ブログのコメント・トラックバック機能を使いこなすことは、この「交流」にあたるでしょうか。

たとえばインターネットが普及し始めたばかりの頃は、検索エンジンや新聞社のサイトが情報を得るための窓口。検索して結果が返ってきたページを見ればそれで満足でした。
僕の場合、はてなにユーザ登録、サイトを持つようになってようやく1年が経とうというところ。その意味では、ようやくウェブで主張することを覚えたのかもしれません。

もはや「利用」と「参加」は同じ意味

ウェブに触れる段階にそれぞれ距離があるとするならば、下記のようにまとめられるのではないかと思いました。
 Web1.x世代のウェブへの態度: 利用<参加<<主張<交流*1
一方で、ウェブを使い始めて間もない世代は、これまでとはまるで違う距離感でウェブに接しているようです。
mixiの登録者数が700万人を超えた報せ*2であったり、携帯電話のSNSがmixiの倍のペースで利用者を増やしている*3ような記事を読んでいると、「ウェブを利用すること」と、「ウェブに参加すること」はほぼ同じ意味になりつつあるのではないかと感じました。
新しい世代がウェブに触れる段階があるとすれば、下記のように言い表すことはできないでしょうか。
 Web2.x世代のウェブへの態度: 利用<=参加=主張=交流

ウェブがコミュニケーションのインフラとしての性格を色濃く帯びていくにしたがって、知人のように匿名のままでウェブを使い続けるは次第に息苦しくなっていくでしょうし、参加と交流がイコールに近づいていくほど、ウェブに思ったことを直接書き綴るといったスタイルはありふれたものになると思います。
ウェブの世界はリアルの混沌さを呑み込んでさらに膨張を続けていく。
さてどこまでウェブの流れについていけるか、なんだかドキドキしてきました。

*1:掲示板などに書き込む「参加」と、自分のサイトを持つ「主張」の間には高い敷居があった、という意味で「<<」の記号を使っています。

*2:mixiのWikipediaの解説「公称登録者数」から

*3:「ITmedia News:成長速度はmixiの倍・9カ月で200万人 携帯SNS「モバゲータウン」の強さ (1/2)」から