能天気すぎる「女性議員をふやそう」運動

長らく放置状態だったブログの久々の更新。というのも、たまたま遭遇した「女性議員を増やしたい」という、とある運動体のあまりに能天気すぎるエントリにびっくりしたから。

問題のエントリは、兵庫県の「あしたをひらく女性の会」ブログの「もっと女性議員をふやしたい!」というタイトルのもの。先日行われたばかりの兵庫県川西市の市議会議員選挙に触れているのだが、以下のような記載がある。

多くの男性からも、もっと女性議員が増えないと女性の生活に密着した声が届かないとのご意見をいただいて心強い思いをしています。今回、女性候補が全員当選すると34.6%になります。
やっと3人に一人が女性議員ということになります。

ぜひ全員当選して欲しいですね! 

いやはやびっくりだ。本気でこの会は、「ぜひ全員当選して欲しいですね!」と言っているのだろうか?川西市の市議会選挙といえば、在特会、チーム関西で活動してきた「おつる」こと、なかそちづ子氏が出馬していた選挙だからだ。結果は落選だったようだが、女性候補全員の当選を願うというこの会のブログエントリ内容をそのまま解釈するなら、なかそ氏の当選をも願っていたということになる。

「市民派女性議員を送り続け」と団体の説明として記載している「あしたをひらく女性の会」で、会報を見る限りは「男女共同参画」を推進する系統の団体のようだ。(この会推薦候補の宮坂氏、小西氏の活動をみてもそうだろうと思う。)しかしこの状況で「(女性議員が)全員当選してほしい」といってしまうのは、この会にとって「女だったら誰でもいいのか?」と問われても仕方あるまい。現在の政治状況、社会状況などをまったく読めておらず、浮世離れしすぎではないか。この会は、なかそ氏の活動背景をまったく知らなかったのだろうか、あるいは知っていながら、あえて「女性議員全員当選」をお題目のようにうたったのか。それとも本気で「女なら全員当選」というスタンスなのか。いづれにせよ、問題含みだ。

おそらく本音としては、この会の推薦候補である、当選した宮坂まきこ氏と、落選した小西佑佳子氏と、その二人だけ当選してほしいということだろうとは思う。だったらはっきりとそう書けばいいのに。

この会だけがこういう鈍感ぶりならば、特殊例として片付けられるが、正直いえば、どうにも「女性議員をふやそう」運動の限界をひしひしと感じる。もちろん日本の国会も地方議会も女性議員は少な過ぎるので、増えた方がいいのは確かだ。でも、いったいどういった女性議員なのか、政策だって重要なのに、ひたすらお題目のように「女性議員をふやせ」「北欧をめざせ」「クォータ制導入」と唱えるばかりでは、はっきりいって説得力はないだろう。最近の「女性と政治」運動の方向性や運動展開の限界性をはからずも感じさせる一件だった。