xckb的雑記帳

身の回りにあったことを雑多に語ります。

スマホ用のペルチェ素子クーラーは本当に効果があるのか(iPhone Xsでテスト)

さて、7月までの雨続きの日々が嘘のように晴れまくっている日本列島。だが、COVID-19騒ぎでそうそう遠出をするわけにもいかず、そこそこ近場の県内でドローンを飛ばしていたりする今日この頃。

そんな中の悩みの一つは、燦々と輝く太陽のために、操縦に使うiPhoneが熱で処理能力を大幅に落としてしまい、コントロールが不自由になること。遠距離まで飛ばした場合はスマホの画面から見える主観動画が命綱だし、近距離でもカクカクとコマ落ちするような画面の動きではスムーズな操縦に影響がある。

一つの対策は日除けをつけることなのだけれども、日除けは視認性を改善させるものの、発熱にはそれほど絶大な効果はない模様。

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ということで、色々調べてみると、ポケモンgoとか荒野行動(こっちはよく知らない)とかのガチ勢の方々向けの、ペルチェ素子のスマホ冷却用クーラーなるものがあるらしい。Amazonで検索すると、日本の会社からもそういう製品は出ているようだけれども、Mavic miniのコントローラと同居できそうな製品はなさそうだったので、色々見比べた結果、この辺りが気になった。

まあ典型的な中華ガジェットで、Amazonの商品ページから分かる通り、怪しい日本語の中華売り文句、そして中華フォントだらけの商品画像で正直言って思いっきりうさんくさい。だが、白猫であれ黒猫であれ、鼠を捕るのが良い猫である(中華製品だし)。そしてこういう怪しい商品は別に嫌いじゃない。ということで早速注文してみた。これだ。iPhone XsのCPUって多分この辺りの位置だよね。

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なんでそこで無駄に色を変化させながら光るんだ君は。ゲーミングなんとか(笑)とかいうやつか。まあもともとゲーム用のデバイスだろうからこれでいいのか。動作しているかどうかが一目でわかりやすいのはまあ認めるけど。

冷房の効いた室内で、このガジェット単体に電源を繋いでしばらく放置すると、温度は7度弱まで下がって結露が始まった。一応、売り文句の「6度」というのは、室内での単体測定では詐欺文句ではないようだ。

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さて、せっかく買ったからにはなんらかのテストをしたいということで、とりあえずゲーム系のベンチマークテストとして、3DMarkのSling Shot Extremeを試してみることにした。これだ。

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3DMark Sling Shot Benchmark

3DMark Sling Shot Benchmark

  • Underwriters Laboratories, Inc.
  • ユーティリティ
  • ç„¡æ–™

実験に使ったiPhoneはiPhone Xs。ディスプレイはいずれのパターンでも最も輝度を上げた状態でテストを行った。自分としてのメインターゲットは炎天下の真昼なのだけれども、対照としてまずは、冷房の効いた室内でテストして…。

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その後真夏の昼間に屋外に出して、炎天下に画面を上を向けてテストしてみることにした。本体の固定はいずれも三脚と三脚用スマホアダプターで行った。

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Sling Shot Extremeは、だいたい5分で1回テストが回るが、どうも最初の1回分くらいは温度が落ち着かずにその後と大きく異なる値が出るようであり、ケースによってはその後も温度勾配が落ち着くまで変化を続けるようだ。なので、室内と炎天下、ペルチェの有無の4通りにそれぞれ4回ずつテストを行い、それぞれ最初の1回目は参考記録とすることとした。その後も勾配が続くデータは、それはそれで傾向を見ることができるだろう。

ということで結果を出してみよう。比較は単純化のために総合スコアでのみ行う(ゲームが目的なわけではないので、そもそも個別のテストを比較しても仕方がない)。いずれのテストも、ペルチェなし → ペルチェありの順番に試している。

まずは冷房ありの室内の場合。ペルチェがない場合は2回目、3回目のスコアが俄然落ちている。ペルチェがあっても多少の性能低下は見られるが、そもそも最初の回からかなりの高性能を出しており、4回目でもペルチェなしの1回目よりかなり良いスコアだ。室内での利用に関しては「効果あり」と言ってよいだろう。

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さて、問題の炎天下でのテスト。そもそも最初の時点で室内とは比較にならない低スコアだったりするが、ペルチェなしの場合は2回目以降はさらに性能が低下した上にそのまま変わらず、屋内でのテストの6.5分の1の性能しか出ていない。それに対してペルチェをつけた場合、ペルチェなしのテストをした後だったからか、1回目はそれほど性能は変わらなかったが、その後は順調に4回目まで性能を上げ続け、ペルチェがない場合のなんと5.3倍の性能を出している。さらにこのカーブを見ると、さらに性能は上がる余地がありそうである。この性能は、室内でペルチェなしで測定した場合よりも高い。

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iPhoneの表面温度なども測定したが、そもそもペルチェの有無でそれほどボディの温度自体に変化はないようだ(室内で40〜50度程度)。おそらく、iPhoneのシステムとしては、環境に応じた温度の限界値的な基準はあって、温度が下がる余地があるなら処理能力を高めることを可能にするのだろう。だからペルチェの有無で温度は変わらないが、性能は大きく変化するのだ、と思われる。

いずれにせよ、炎天下テストに関しては「絶大な効果あり」と言って良いと思う。

ちなみに余談だが、屋外テストの時に間違えて一回iPhone用のカバー(わりと厚手のやつ)をつけたまま測定してしまった時は、ペルチェをつけてもせいぜいつけないときの倍くらいしか性能は向上しなかった。絶対にカバーやケースを外して、直接ペルチェにつながる放熱版をボディに直接密着させるべきだろう。

ということで、少なくともこの実験結果からは、スマホ用ペルチェ素子クーラーは、少なくともゲームに関してはかなり効果がありそうと言えると思う。問題は俺のそもそもの目的であるドローンの連携ソフト、DJI Flyに効果があるのか、とか、スマホ用日除けと共存は可能か、などの問題があるのだが、またそれは傾向が異なる話なので別途後日まとめることとしよう。

(2020年8月22日追記)実際にこれをつけて、炎天下でMavic miniを飛ばしてみました。

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(2020年8月20日追記)上のリンクが現在在庫切れになっていますが、多分これも同じ商品だと思います。ちょっとだけ高いですが。

(2021年8月9日追記)DJI Air 2Sのコントローラ用iPhoneにもペルチェをつけてみました。。

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