毛沢東の銅像、設置から1か月で消えた…当局が過度な崇拝を警戒か
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【長沙(中国湖南省)=鈴木隆弘】中国湖南省長沙市で今月、住民が資金を集めてつくった建国の父・毛沢東の銅像が、設置から1か月で何者かに撤去された。当局の指示とみられ、毛沢東支持者に波紋を広げている。平等を重視した毛沢東の生誕130年が12月に控え、過度な崇拝が貧富の差などへの不満に転じるのを警戒しているとみられる。

住民らによると、毛沢東像は長沙市の花実村に建てられ、国慶節の10月1日に除幕式が行われた。銅像の設置は村の共産党支部などがかかわり、住民も費用を寄付した。しかし、11月2日に黒い服を着た人たちが撤去を試み、住民がいったん阻止した。4日未明にも何者かが現れ、銅像をクレーン車でつり上げて持ち去ったという。
現在は土台も撤去され、跡形がなくなった一方、広場を見渡す新しい監視カメラが設置された。自らも銅像に資金を出した70歳代の女性は「村のトップも寄付を呼びかけていた。銅像の何が問題なのか全く分からない」と憤った。毛沢東支持者のウェブサイトにも「毛沢東を愛する義理堅い中国人は悲しみと怒りしかない」などと投稿があったが、削除された。
毛沢東が発動した大衆政治運動「文化大革命(1966~76年)」では、各地に毛沢東像が建ち、文革後に撤去が進んだ。香港紙によると、近年は毛沢東への敬愛の高まりから再び銅像がつくられている。山東省では8月、大理石製の毛沢東像が落成式前に持ち去られた。地元当局が無許可を問題視したとみられている。