生成AIでブレストは日常化、文章作成力の養成に懸念…AI指針まとめた鳥取県で見えた効果と課題
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全国の自治体で、生成AI(人工知能)の業務への活用が広がっている。業務効率化が期待される一方、誤情報などのリスクも指摘されるが、現場ではどのように使われているのか。行政が生成AIを使う際の理念を自治体で初めてまとめ、今年6月から活用を進めている鳥取県を取材すると、利点と課題が見えてきた。(鳥取支局 山内浩平)
「アイデアとりまとめの時間は3分の1に」

「あなたはセミナーの主催者です。経営者や管理職が対象です。どのような宣伝文句を使いますか」
県産業人材課の中尾誠治課長補佐がパソコンで生成AIに入力すると、すぐに「自分自身をアップデート」「新たな時代のリーダー」など10個の文句が示された。
別のイベントでも、参加者から質問を受け付ける際の想定問答の作成に、生成AIを活用したという。
こうした「ブレスト(ブレーンストーミング=アイデア出し)」に、生成AIが日常的に使われるようになっている。中尾氏は「アイデアをまとめる時間が3分の1ほどに短縮され、別の業務に充てる時間ができた」とその効果を語る。
生成AI活用も人間主導の原則
「生成AI元年」と言われた2023年。生成AIを業務に使う自治体が徐々に増える中、鳥取県は同年4月、使用禁止の方針を打ち出した。重要な意思決定で生成AIに依存すると、民主主義の根幹がゆらぐとの問題意識があったからだ。

一方、人口減少が進む中、行政サービスを維持するためには活用の必要があるとし、倫理面の問題を検討する有識者会議(座長=山本龍彦・慶応大教授)を設置。その結果、今年4月にまとまったのが全国初の「自治体デジタル倫理原則」だ。
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