性犯罪の加害者側の弁護士、生成AIで謝罪文…「特に問題ない」と検察・被害者側に利用伝えず

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 生成AI(人工知能)が急速に普及する中、性犯罪の加害者側の弁護士が、被害者への謝罪文の作成に生成AIを利用した事例があることがわかった。利用すれば誰もがたやすく文章を作成できる。この弁護士は「丁寧な謝罪文を作ることが目的だった」と話すが、犯罪被害者支援に取り組む専門家は「本人の反省につながるとは言えず、被害者も真に反省していると認めないのではないか」と疑問視している。(田中俊之)

 謝罪文を作成したのは関西地方の男性弁護士。性犯罪で警察に摘発された男の弁護人に就き、今冬、対話型AIサービス「チャットGPT」を利用したという。

 当初、男に謝罪文を書いてもらったところ、「心を踏みにじってしまい申し訳ありません」という趣旨の一文しかなかった。「反省の気持ちはあると感じたが、(男は)文章を書くのが苦手で、とても被害者側に渡せる内容ではなかった」と語る。

 弁護士自身が文案を作成するしかないと考え、以前から活用を模索していたチャットGPTに「性犯罪者が提出すべき謝罪文を書いて」と指示してみた。すぐに文案が示され、男が書いた謝罪文より「充実した内容」だったという。

 「もっと丁寧な表現に」「改善策も盛り込んで」と繰り返し指示し、被害者の心情に配慮しつつ、男から聞き取った反省の言葉も盛り込んだ。作成にかかった時間は数十分で、出来上がった文章を男に全て手書きしてもらった。

 謝罪文は、刑事処分で情状酌量を求めるため、被害者側に提出。まだ起訴か不起訴かの処分は出ていない。検察や被害者側には、謝罪文にチャットGPTを利用したことを知らせていない。

 弁護士は「特に問題だと思わないから伝えていない。反省の気持ちをうまく文章化することは弁護人の重要な仕事で、チャットGPTの使用はその仕事を効率化しているだけだ」とし、「今後も機会があれば使うだろう」と話す。

 これに対し、犯罪被害者支援に取り組む奥村昌裕弁護士(大阪弁護士会)は「被害者は加害者に真の反省を求めており、謝罪文はそれを確認する一つの機会だ。それが、AIで作られていたとなれば、本人の反省につながらず、被害者は真の反省と認めないと思う」と指摘。「文章のうまい下手ではなく、事件に 真摯しんし に向き合っているかどうかが重要だ。AIで謝罪文が作られていたと知った場合、被害者は傷つき、二次被害になる恐れもある」とした。

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