園児の体を床に押しつけ?「両生類のハイハイ」動画…市長「報道されたのは残念」
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埼玉県加須市の認可保育所で、女性保育士が「リズムあそび」のひとつ「両生類のハイハイ」を指導していた際、園児の体を床に押しつけていたとみられる動画が明らかになった問題で、同市の大橋良一市長は11日の市議会定例会の一般質問で「報道されたことについては大変残念。全ての指導事項が改善されるまで、監査指導を継続したい」と述べた。
動画は昨年5月10日に撮影され、園児が泣き声をあげる中、女性保育士が園児の体を床に押しつけているような様子が映っていた。読売新聞は動画を入手し、今年7月に小児科医の「股関節などの脱臼を起こしかねず、危険」との指摘とともに報じた。
同園を巡っては、市が昨年5、6月に臨時監査を実施したところ、当時の主任保育士による虐待にあたると疑われる行為や、市からの委託費(年間約8200万円)などで用意すべき土曜保育の際の給食も提供していなかったことなどが判明。その後、主任保育士や運営法人の理事長兼園長が退職した。
一般質問で大橋市長は、動画について「臨時監査の前に撮影されたもので、園に確認したところ、現在は動画のような保育指導を行っていないとの説明を受けた」とした。その上で「市としてもこども局と福祉部で連携し、適切な保育所運営と保護者の信頼回復に努める」と強調した。
また、斎藤一夫福祉部長は、市が今年8月に保育士計18人や理事長、園長に行った聞き取り調査結果を精査した上で「改善が必要と判断したものについては文書による指導を行い、改善報告を求める」と述べた。
「なぜ監査で発覚せず」
…園児の祖父と母 不信感あらわ
「両生類のハイハイ」の動画に映っていた男子園児(2)の祖父(60)と母親(25)が、読売新聞の取材に応じた。
2人は「大人に体を押しつけられ、子どもが大声で泣いているのにショックを受けた。園を信頼して預けていたのに、今まで知らなかったことが悔しい」と話した。
読売新聞が7月、動画について報じた後、園側は母親に謝罪した一方、「教育の一環」と説明したという。母親は「園側が何に謝っているのかが分からない」とし、祖父は「教育の一環なのか、虐待なのか、はっきりさせてほしい」と訴えた。
市が同園に対して昨年5、6月に実施した臨時監査では、当時の主任保育士による虐待にあたると疑われる行為があったと指摘された。動画の行為があったのは、その監査前だとされる。祖父は市に対しても「なぜ監査に入っているのに、今回の問題がわからなかったのか」と不信感をあらわにした。