救急患者「搬送困難」倍増、コロナ感染疑い拒否か…8病院に断られた高齢者も

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 新型コロナウイルスの感染拡大が続くなか、119番した患者の受け入れを医療機関に3回以上断られるなどの搬送困難事例が、全国52消防本部で前年の約2倍になっていることが総務省消防庁の調査でわかった。感染の疑いを理由に、医療機関に拒否されたケースが多いとみられる。

 県庁所在地など救急搬送者数の多い全国52の消防本部で4月20~26日の1週間、患者の受け入れを少なくとも3回拒まれ、かつ30分以上搬送先が決まらなかったケースを調べたところ、前年同期比91%増の1656件あった。

 増加件数が最も多かったのは東京消防庁。調査期間中の搬送困難事例は854件で前年比520件増だった。次いで大阪市消防局が212件で66件増、札幌市消防局が67件で46件増だった。

 増加率では、福岡市消防局の575%(23件増)が最も高く、川崎市消防局が371%(26件増)だった。

 川崎市消防局によると、4月23日、市内の高齢者施設から「90歳代の入所者が発熱し、呼吸が苦しそうだ」と救急搬送の要請があったが、八つの病院から「受け入れは難しい」などと断られた。搬送先が見つかったのは2時間半後だったという。

 厚生労働省は4月18日付で、発熱など新型コロナ感染が疑われる症状を理由に、救急隊からの受け入れを医療機関が断らないように求める通知を、自治体に出している。ただ、「院内感染を警戒し、受け入れてもらえないケースもある」と消防関係者は話す。

 高市総務相は同28日の閣議後記者会見で、「発熱など感染が疑われる患者に対し、医療機関が受け入れを躊躇ちゅうちょするため対応に苦慮する消防本部が出ている。全国の状況の早急な把握が必要」と指摘し、原則1週間ごとに搬送状況の報告を受けることにした。また、厚労省や都道府県に、医療機関側の受け入れ態勢確保を求めている。

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