小林製薬「紅麹」サプリ、「未知の成分」が生じた原因とは…専門家の意見も様々
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小林製薬の「
健康被害をもたらしたとする「未知の成分」の詳しい解析はこれからだが、成分が生じた原因について、専門家の見方は様々だ。
小林製薬のサプリメント「紅麹コレステヘルプ」などは、蒸した米にカビの一種である紅麹菌を加えて培養し、固めて錠剤にしている。
紅麹菌の仲間には腎疾患などを引き起こす「シトリニン」と呼ばれるカビ毒を作るものがあるが、同社はシトリニン生成に関わる遺伝子がないタイプがあると論文で報告。これを選んで製造に使っている。問題となった2023年7~10月に製造したサプリメントの原料からこのカビ毒は検出されなかったとしている。
同社は未知の成分について、分析結果から「カビ類が生成する成分と構造が似ている」とし、〈1〉紅麹菌とは別のカビなどの異物が混入した〈2〉紅麹菌自体が想定しない成分を生み出した――の両面で解析を進める。
専門家はどう見るのか。
丸山潤一・東京大特任教授(応用微生物学)は「製造工程で、紅麹菌や米に別のカビか何かが混入したと考えられる」と指摘し、「一般の食用の紅麹に健康を害する成分が含まれる可能性は考えにくい」と語った。
奈良先端科学技術大学院大の金谷重彦教授(生物情報学)も混入の可能性に触れ、「製造に使ったタンクにどんな微生物が残っているかゲノム(遺伝情報)解析で調べれば、何かわかるかもしれない」と話す。
一方、藤原伸介・関西学院大教授(微生物工学)は、紅麹菌自体が有害な物質を作ったこともあり得ると指摘。小林製薬がシトリニン生成に関わる遺伝子がないとしているのに対し、「培養条件によっては、類似した遺伝子が働き、シトリニンに近い物質を作った可能性もある」としている。