八戸港 県が脱炭素推進を計画 水素の供給拠点も
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県は、国の重要港湾に指定されている八戸港で、温室効果ガス排出量を抑えた港湾「カーボンニュートラルポート(CNP)」を目指す推進計画を公表した。港湾に集積する鉄鋼や運輸などの産業で二酸化炭素(CO2)の排出を抑える設備を導入するなどし、2050年度にCO2排出量の実質ゼロを実現する。次世代燃料として政府が後押しする、燃焼時にCO2を排出しない水素・アンモニアの供給拠点も目指す。
計画では、八戸港からのCO2排出量を、30年度に13年度比46%減の年220・7万トン、40年度に同73%減の110・3万トンとする。港湾内のクレーンなどの荷役機械全19台は、50年度までに水素・アンモニアなど次世代の低炭素、脱炭素燃料で動く機械に置き換える。「鉄鋼や非鉄金属、素材産業などこれまで排出量の多い業種が多く、削減余地は大きい」(県担当者)という。
将来構想として、水素・アンモニア供給拠点も目指す。水素・アンモニアはサプライチェーン(供給網)構築に向けて政府も投資を後押ししている。脱炭素社会の構築に向けて需要拡大が見込まれており、拠点化による経済効果も期待できる。工場などで発生するCO2排出量を抑制するため、CO2の回収や貯留・再利用技術(CCUS)の導入も目指す。
県によると、八戸港は北東北の物流拠点として取り扱い貨物量2906万トン(21年時点)を誇り、液化天然ガス(LNG)の供給拠点にもなっている。次世代エネルギーに移行した際にも、現在の供給網を生かした需要の獲得が目指せるという。
県港湾空港課は「八戸港から発生するCO2は県内で相当な割合を占めており、取り組みが成功すれば県として大きな削減効果がある。次世代エネルギーの導入を産学官一体となって推進していきたい」としている。