「TikTok」米国事業、マスク氏への売却検討…Xと一体的に運営する案
完了しました
【ニューヨーク=小林泰裕】中国発の動画共有アプリ「TikTok(ティックトック)」の米国内での利用禁止につながる新法を巡り、米ブルームバーグ通信は13日、中国政府が、ティックトックの米国事業を米実業家イーロン・マスク氏に売却することを選択肢の一つとして検討していると報じた。
報道によれば、マスク氏がオーナーを務める米SNS大手X(旧ツイッター)にティックトックの米国事業を売却し、Xと一体的に運営する案が検討されている。米国でのティックトック利用者は約1億7000万人に上り、Xにとっても魅力的な案になりうると指摘している。
米政府はティックトック利用者のデータが中国に流出したり、世論操作に悪用されたりすることで、安全保障上のリスクが高まると懸念している。新法は今月19日に発効し、それまでに運営会社の中国バイトダンスがティックトックの米国事業を売却しなければ、米国内でのアプリ配信などを禁じる内容となっている。
ティックトック側は新法の差し止めを求めて提訴しているが、米連邦最高裁判所は新法を支持するとの見方が強まっている。マスク氏への売却はティックトック側の主張が退けられた場合の代案となる。
米国のトランプ次期大統領は米連邦最高裁に対し、新法の発効延期を求める意見書を提出している。マスク氏はトランプ氏の側近でもある。中国政府側には、マスク氏にティックトックの米国事業を売却することで、トランプ氏側から何らかの譲歩を引き出す狙いがあるとみられる。