累積赤字309億円、「クールジャパン」に統廃合案…財務省「来春までに成果」要求

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 財務省は22日、財政制度等審議会(財務相の諮問機関)の分科会を開き、多額の損失を抱える官民ファンドの改革案を議論した。海外需要開拓支援機構(クールジャパン機構)は、投資対象の拡大などを通じ、3年遅れで累積赤字の解消を目指す方針を示した。財務省は、来春までに成果が上がらなければ、組織の統合や廃止を具体的に検討すると通告した。

 クールジャパン機構は、日本独自の強みがある映像や音楽、工芸品、日本食を海外展開して成長産業に育てる目的で2013年に設立された。想定した収益があがらず、今年3月末時点の累積赤字は309億円に上る。

 所管する経済産業省は、投資対象を素材産業などにも広げ、業績改善が見込めない案件は早期に損切りする、といった見直し案を分科会に提示した。従来計画では30年度の累積赤字解消を目指してきたが、達成時期は33年度に先延ばしされるという。

 委員からは、「累積損失が増えており、具体的な撤退ルールを決める時期に来ている」との指摘があった。投資対象の拡大案にも、「日本文化の発信という政策目的からはずれ始めている」と否定的な意見が出たという。

 クールジャパン機構は、国が1066億円、民間24社が計107億円を出資し、これまでに56件への投資を決定した。しかし、支援したアニメ配信会社が海外の動画配信大手との競争に敗れるなど、確定した損失は約60億円に上る。食品などにも手を広げたが、収益は改善しなかった。

 クールジャパン機構を含む四つの官民ファンドは累計赤字が計700億円を超え、経営改善が急がれる。財務省は、総務省が所管する「海外通信・放送・郵便事業支援機構(JICT)」に対しても、来春の計画達成ができなければ、組織再編も念頭に置いた見直しを求める方針を示した。

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