心理学の7つの大罪…クリス・チェインバーズ著 The Seven Deadly Sins of Psychology
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統計学の原罪と救済
評・三中信宏(進化生物学者)

統計データ解析の
本書が列挙する心理学の「大罪」の最初の四つは統計解析に関わる。先入観に一致する証拠だけを集める「確証バイアス」の
残る三つの「大罪」はさらに深刻だ。データの
著者は最終章でこれらの“原罪”に対する前向きな救済策を論じる。とくに、著者自身が推進してきた新たなシステムである「事前登録制」は、実験計画の事前審査を義務づけ、予期される“罪”の回避案としておおいに注目される。
『心理学の……』と銘打たれているが、本書の潜在読者はもっと広い。なぜなら『真の科学であるために私たちがすべきこと』というサブタイトルは、分野を問わずすべての科学者ならびに科学に関心をもつ一般読者へのメッセージだからだ。大塚紳一郎訳。
◇Chris Chambers=英カーディフ大学心理学部・認知神経科学教授。同大ブレインリサーチイメージングセンター長。