映画界に脱ハラスメントの機運…性暴力の相次ぐ告発

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不安定な雇用 提言や改革

 映画業界で、男性監督から性暴力を受けたとする女性の告発が相次いでいる。俳優が暴力にさらされやすい背景には、制作現場における厳しい上下関係や、不安定な雇用形態がある。映画業界は、被害者へのサポート体制の整備や、性暴力を許さない環境作りに一丸となって取り組む必要がある。(文化部 山田恵美)

日本版Me Too

 今年3月、映画「蜜月」の榊英雄監督に対する複数の女性の告発が、週刊誌に掲載された。榊監督の過去の作品に出演したり、演技ワークショップに参加したりした際に「性行為を強要された」と訴える内容だ。榊監督は、「事実ではないことが含まれている」とコメントした一方で、関係者らに謝罪した。

 映画「愛のむきだし」などで知られる園子温監督についても、週刊誌が同様の告発を報道。園監督は謝罪コメントを発表したが、後に「記事の内容は事実でない」と主張、損害賠償などを求め発行元を提訴した。

 告発はブログやツイッターにも拡大し、男性監督らに性暴力やセクシュアル・ハラスメントを受けたと証言する女性が相次いだ。SNSには映画界の体質改善を求める声があふれ、米国発のセクハラ告発運動「#Me Too」日本版ともいうべき広がりをみせている。

公然の秘密

 芸能ジャーナリストの渡辺裕二さんは、今回の告発を「氷山の一角だろう」と指摘する。俳優の尊厳を傷つける行為が、「公然の秘密」として、長年にわたり見て見ぬふりをされてきた可能性がある。

 映画関係者によると、制作現場は男性社会で、監督やプロデューサーを頂点とするピラミッド構造に近い。厳しい予算の中、ぎりぎりの日程で撮影することも多く、底辺にいる新人俳優やスタッフに様々なしわ寄せが及びがちだという。性暴力に加え、殴ったり、どなったりするパワーハラスメントが日常茶飯事で、「みんな気が立っているから何でもあり」との声もある。

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