ガチャガチャ言っても始まらない?…「親ガチャ」に疑問を呈した中学生の主張
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教師も使うほど定着? 家庭環境に左右される現実
「君たちは、みんな親ガチャに成功しているみたいだね」。東京都内のある中学校で、教師が生徒にそう問いかけたと聞いて、驚いた。親ガチャとは、2021年の新語・流行語大賞のトップ10に選ばれた言葉で、家庭環境によって人生が左右されることを意味するようだ。23年1月の大学入学共通テストにも、倫理で「親ガチャ」がテーマとみられる出題があり注目された。
中学教師がそんな言い方をするのが適切かどうかはさておき(子どものことを本当に考えて言っているのか? と気がかりなのは筆者だけではないだろう)、急速にこの言葉が定着した背景には、「自分の力ではどうにもならない」と若者に思わせてしまう経済格差の問題があり、今の社会の息苦しさを表しているという見方もある。しかし、人生の大半はくじやガチャのように運命的に決まると言い切れるのか。それとも、自分の努力次第なのか。この奥深いテーマに切り込んだ中学生のスピーチを聞く機会があり、大人の立場からも考えさせられた。
「少年の主張全国大会」で意見を発表
「親ガチャ」はオンラインゲームから発生した表現だというが、近年ブームが続き、路上などでよく見かけるカプセル玩具販売機の「ガチャガチャ」にルーツがあるようだ。最近は就職後の「配属ガチャ」、新学年での「担任ガチャ」という使われ方も広がっている。
運を天に任せるしかないガチャガチャに自分の置かれた環境を重ねる風潮に、あえて疑問を呈した中学生の意見は23年11月、4年ぶりにリアルで開かれた「少年の主張全国大会」で発表された。愛知県常滑市立常滑中学校3年の竹内
今年で45回目を迎えた「少年の主張」には全国から約38万人が応募し、東京で開かれた全国大会には各地区の代表として計12人が出場した。その一人として登壇した竹内さんは、スマートフォンの画面に「親ガチャ失敗」「親ガチャハズレ」という書き込みを見つけた時、「一見楽しそうに聞こえるけど実はグサッと刺さる言葉」に衝撃を受けたと振り返った。「人生のうまくいかないところを100パーセント他の人のせいにしているようで、これからどんなに頑張ったって努力したって、そんなの無駄だぜ、って誰かに言われているみたいで悲しい」と受け止めたという。
竹内さん自身も将来への不安は抱えつつ、思うようにいかない時には「自分にもなにか問題点があるんだろうなって思える人間でありたい。自分だけの大切な人生だから、転んでばかりの毎日かもしれないけれど、自分の日々を大切にしたい」と語る。そして、「ガチャガチャ言っても始まらないか! 自分の気持ちと自分の責任で過ごしていく」と、言葉遊びも交えて、自らの力で人生を切り開いていく決意を表明した。
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