おんじょう‐しゅぎ〔ヲンジヤウ‐〕【温情主義】
パターナリズム
(温情主義 から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/30 14:26 UTC 版)
注釈
- ^ パターナリズム paternarism の「パター pater」の語源は、父親 (father) を意味するラテン語からである(江崎一郎「パターナリズム - 概念の説明 - 」、加藤・加茂編、1998年、65頁)。模様・規範を意味する英語の「パターン (pattern) 」とは無関係である。
- ^ この「ウォルフェンドン委員会報告」を巡ってハートとパトリック・デヴリン判事の間で戦わされた論争であるためこの名がある。詳しくはハーバート・ハートのLaw, Liberty and Morality, Stanford University Prress,1963および井上茂「法による道徳の強制」、『法哲学研究』3、1972年、有斐閣を参照。
- ^ パターナリズムに直接言及してはいないが、明治憲法体制下の日本で、天皇を「父親」とし、臣民を「子」とする国家観について、石田雄『明治政治思想史研究』未來社、1954年。 NCID BN12136785。、および、石田雄 著「家族国家観の構造と特質」、松本三之介 編『明治思想における伝統と近代』東京大学出版会、1996年。ISBN 4130301012。
- ^ ジェラルド・ドゥオーキンが挙げているパターナリズムの例のなかで、国家と国民に関係するものとして、オートバイ運転者にヘルメット着用を義務づける法律、自殺を犯罪とする法律、両者の同意を得ている決闘を禁止する法律、などがある(Gerald Dworkin, 'Paternalism' in Rolf E. Sartorius ed., Paternalism, University of Minnesota Press, 1983,p.20)。なお、ドゥオーキンのパターナリズムについての紹介は、中村直美「ジェラルド・ドゥオーキンのパターナリズム論」、『熊本法学』32号、1982年、を参照。
- ^ 直接パターナリズムに言及してはいないが、市町村などの行政機関の窓口で、クライアント(行政サービスの受け手)に対して「善意の支配」を及ぼす「第一線職員」の動態について分析した研究として、畠山弘文『官僚制支配の日常構造 善意による支配とは何か』三一書房、1989年、ISBN 4380892131 。
- ^ これについて直接パターナリズムに言及する研究はみあたらないが、一例として、20世紀初頭のオランダ領東インド(現在のインドネシア)で、宗主国のオランダは、現地住民に初等教育の機会を与え、また下級官吏や医師を養成するための専門教育機関の設置した。また、1918年には現地住民の代表を含む植民地議会 (Volksraad) を開設した。これらの諸政策は現地住民の自治能力の育成と、本国から現地政府への権限委譲を目的としていた。これらは「オランダ=白人=キリスト教徒=文明の光が、東インド=有色人=非キリスト教徒=野蛮の闇をはらい、蒙を啓き、文明に導くのだ」との発想に基づいていた(早瀬晋三・深見純生「近代植民地の展開と日本の占領」、池端雪浦編 『東南アジア史Ⅱ 島嶼部』、山川出版社<新版 世界各国史6>、1999年、283頁)。
出典
- ^ 『19世紀イギリスにおける経営パターナリズム』武居 良明,1995年
- ^ 『医療におけるパターナリズム』谷本光男,医療とバイオエシックスの展開, p154, 1994年
- ^ 『生命倫理学講義』p68,日本評論社,1998年
- ^ “統治・自律・民主主義―パターナリズムの政治社会学”. 紀伊國屋書店ウェブストア|オンライン書店|本、雑誌の通販、電子書籍ストア. 2022年10月23日閲覧。
- ^ “英辞郎 on the WEB”. eow.alc.co.jp. 2022年10月23日閲覧。
- ^ 横山謙一 著「パターナリズムの政治理論」、澤登俊雄 編『現代社会とパターナリズム』ゆみる出版、1997年、166頁。ISBN 4946509089。
- ^ J.S.ミル(早坂忠訳)『自由論』(世界の名著38『ベンサム、J・S・ミル』)、中央公論社、1967年、224-225頁。
- ^ エリオット・フリードソン『医療と専門家支配』恒星社厚生閣、1992年。ISBN 4769907354。
- ^ 患者の自己決定とインフォームド・コンセントについては、上村貞美「患者の権利 - インフォームド・コンセントを中心に」、虫明満編 『人のいのちと法 - 生命倫理と法』法律文化社、1996年、58頁、を参照。
- ^ 悪徳商法防止「父権訴訟」を導入しては
- ^ 以下のパターナリズムの類型については、花岡 1997、中村直美 著「パターナリズムの概念」、井上正治; 西山富夫 編『刑事法学の諸相 : 井上正治博士還暦祝賀』有斐閣、1981年。ISBN 4641040575。、John, Kleinig (1983), Paternalism, Manchester University Press, p. 14, ISBN 0719017033を参照。 なお、クライニッヒの議論については、パターナリズム研究会「紹介 : J・クライニッヒ著『パターナリズム』」(1) - (4)、『國學院法学』25巻1号 - 4号、1987年-1988年、に詳しい。
- ^ 花岡 1997, pp. 34–35.
- ^ 花岡 1997, pp. 35–37.
- ^ 本田裕志「医療におけるパターナリズム」、篠崎・加茂編、世界思想社、1989年、を参照[要文献特定詳細情報]。
- ^ 『被災自治体における住民の意思反映:東日本大震災の現地調査・多角的考察を通じて』 日本都市センター 2014 pp.104-107.
- ^ 植田今日子 (2012). “なぜ被災者が津波常習地へと帰るのか”. 環境社会学研究 (環境社会学会) 18 (0): 60-81. doi:10.24779/jpkankyo.18.0_60.
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