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第17次中期経営計画の策定に関するお知らせ

当社グループは、本年から始まる2025年7月期から2027年7月期までの3年間を対象とする第17次中期経営計画を策定しましたので、お知らせ致します。

Ⅰ.「働く場」「学ぶ場」の革新で社会課題の解決に貢献する

当社は、1910年(明治43年)に創業し、2025年には115周年を迎えます。世界一流の測量・製図機器を南満州鉄道株式会社に提供することを祖業とし、拠点と事業を次々と広げ、一世を風靡した計算尺やナンバリングの国産化など製品群を拡大して発展しました。戦後は日本の復興を目指し、学校教育で科学教育機器事業を開始。その後の日本の経済成長に向けて1962年コンピューターの製造に着手し、1963年オフィス家具事業に進出しました。時代とともに事業内容を変化させながら、一貫して、民間企業、官公庁、教育機関のお客様の働く場と学ぶ場の革新と創造に取り組み、その経験・知見は、今日の内田洋行グループのもつ主要リソースを構成する、アプリケーションやネットワーク等のICT構築関連事業と、企業や官庁のオフィスや大学、学校の環境構築関連事業という、二つのユニークな事業構造として蓄積されています。

今後の日本社会は、少子化にともなう急速な生産年齢人口の減少という重大な社会構造変化に直面し、人の生産性の飛躍的な向上と、答えのない時代を担う人材育成が大きな社会課題となります。現在のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するAI・データ活用の拡がりは、社会に革新をもたらす可能性を秘めています。だからこそ、変革を進める人を支える「働き方と働く場」「学び方と学ぶ場」の革新はますます重要になると考えます。ICT構築と環境構築という当社グループが培ってきたユニークなリソースを最大限に活用し、新たな革新に挑戦します。

第17次中期経営計画の策定にあたり、変革を担う人々のための革新と創造へのご支援こそが内田洋行グループ創業の原点であることを再認識し、お客様とともに事業改革に取り組みつづける企業文化を改めて創り上げてまいります。

Ⅱ.第17次中期経営計画を進めるにあたり

内田洋行における一連の経営改革は、2015年に開始されました。リーマン・ショック後に低迷した当社の収益性の改善に取り組むことと、まだ顕在化していないものの10年後には確実に到来する日本の少子化の重大な影響に対処するため、旧来の内田洋行の延長ではなく中長期の視点に立った改革をスタートしました。

第14次中期経営計画(2016年7月期〜2018年7月期)では、全社の事業を俯瞰的にとらえるため、事業の軸からICT関連と環境構築関連に、市場の軸から民間市場と公共市場にわけた4つのマトリクスで構成する事業ポートフォリオを設定、現在のセグメントにある各個別事業をSBU(スモールビジネスユニット)としてマトリクスの領域にプロットすることから始め、共有するためにノウハウなどのリソースの可視化に着手しました。同時に旧来の三本部制を廃止し、各本部の持つスタッフの流動化を進めて、成長の芽となる事業を分離独立させる戦略を遂行し、さらに社内に分散していたSE組織やICT関連のR&D・開発部門などを機能統合することで、リソースの共有を開始しました。

市場別・スキル別マトリクスで事業構造を見える化

第15次中期経営計画(2019年7月期〜2021年7月期)では、第14次中計から推進した市場を起点にSBUの連携を図るマネジメントにより、リソースの共有とフレキシブルな機動性が高まり、Windows10更新需要や教育ICT、首都圏新築ビル需要の集中に対し、従来よりも幅広く着実に対応することができ過去最高益を達成します。この効果はコロナ禍でも効用を発揮し、コロナ対策のための教育ICT、GIGAスクール構想案件や大手民間企業のIT投資拡大など、急激な市場変化にも的確に機動的に対処し大きな成果を得ることができ、業績のベースラインのアップを実現させました。

第16次中期経営計画(2022年7月期〜2024年7月期)では、内田洋行単体を中心に継続して組織の再編を進めるとともに、グループ全体での再編に向けた準備に着手しました。連結上場子会社のウチダエスコ株式会社や、連結子会社の株式会社ウチダテクノを完全子会社化し、データ活用を事業化したグループ会社のスマートインサイト株式会社を吸収合併しました。また並行してグループリソースの共有化を図るためのグループ共通情報システムにおける大型投資を開始しました。さらに新たな成長に向けて、教育ICTのトレンドであるCBTの分野において世界で先進的な、ルクセンブルクのソフトウェア開発会社Open Assessment Technologies S.A.の100%出資を実施しています。
これらの成果は、これからの継続したベースラインのアップに活かされると考えます。

ベースラインアップにつながるリソース共有の進展

第17次中期経営計画では、これまでのマネジメント変革をグループ全体に大きく拡げて、リソース共有の幅を拡大し、さらなるベースラインのアップを図ることを基本方針とします。その上で、10年先を見据えた社会構造変化への対応をすすめ、将来の成長に向けた投資と、長期的な事業の安定を図るための経営基盤への投資を進めてまいります。

Ⅲ.利益計画の考え方

第17次中期経営計画では、過去最高益の更新を継続し、売上高3,400億円、営業利益115億円を超える水準に挑戦、さらに次の大台の水準を目指して将来に向けた成長策と投資を推進します。

第17次中期経営計画(2027年7月期)目標値

 2024年7月期実績第17次中期経営計画
(2027年7月期)
2024年比
売上高2,779億円3,400億円122%
営業利益93億円115億円124%
ROE10%前後を安定的に達成できる経営基盤の確率を目指す
2024年7月期実績
売上高2,779億円
営業利益93億円
第17次中期経営計画(2027年7月期)
売上高3,400億円
営業利益115億円
2024年比
売上高122%
営業利益124%
ROE10%前後を安定的に達成できる経営基盤の確率を目指す

期間中の市場環境認識としては、海外経済の減速、人手不足による供給制約などが懸念されるものの、企業の設備投資やデジタル投資の増加による生産性向上などが見込まれ、賃金上昇などによる個人消費回復も含め、概ね良好な市場環境と判断しており、国内経済の名目GDP成長率は概ね毎年+3%前後で成長することが予測されます。

当社の事業領域の中では、IT市場でのクラウド関連が高い伸びを継続する可能性が高く、東名阪でのオフィス分野の需要拡大も予想されます。加えて、2025年〜2026年にかけてGIGAスクール更新需要、自治体でのシステム標準化需要など、特別な需要がピークを迎えますことから、日本の平均成長率より高い年率7%以上の伸びを継続し、将来に向けた変革と投資を進めます。

中期経営計画での変革の継続でベースラインのアップ

Ⅳ.市場変化に対応する成長シナリオとマネジメント変革

  • (1)グループ全体で市場変化に対応できるフレキシブルな体制を構築する

    当社グループは、民間・公共という共通する市場の中で、ICT関連と環境構築関連の多様な事業各々が、それぞれの特色をもってお客様と接して蓄積されたノウハウからお客様を多角的、立体的に把握し、継続的貢献してきましたが、これからの社会構造変化によって需要は大きく変化します。同一の事業領域にあるグループの事業リソースをこれまで以上に関連づけることで、内田洋行グループ全体の市場変化への対応力が高まり、より強い事業集団に発展するものと考えます。

    これまで4つのマトリクスの視点から事業ポートフォリオを設定し、新たな事業の組み合せにより変革してきた取り組みを、今後はグループ全体に広げて、上記の戦略を推進し、更なる将来の市場変化に機敏に対応できる体制を構築します。

  • (2)成長シナリオ

    スマート社会を実現するためにはデジタルトランスフォーメーション(DX)が必須となりますが、真の意味でのDX、トランスフォーム(変革)の実現には、実行する「人」の育成と、基になる「データ」への投資の強化が重要になります。内田洋行グループはこの「人」の創造性を大切にする環境づくりと、「データ」の生成と活用する「人」のスキルとテクノロジーを高める「働く場」「学ぶ場」の革新に挑戦し、企業や官公庁・自治体、学校を中心とするお客様をご支援します。

    • ○第17次中期経営計画においては、戦略的な重点市場に対しICTと環境構築のノウハウを融合、グループ全体のリソースを活用し、セグメントを超えたリソースの結集により競争力を高め、当社独自の競争優位づくりに挑戦する。

      • 【大手民間市場】
        DX投資の拡大で急成長するICT事業分野をベースに、他の分野のノウハウと顧客網を結び付けてビジネス機会の拡充を図り、ユニークな強みの具現化を進展させる。
      • 【公共市場】
        NEXT GIGAと自治体の情報システム標準化の推進を基に、教育ICTと自治体ICTを繋ぐ役割を担い、少子化に苦しむ地域に貢献を目指す。学校と公共施設の連携から地方創生へもつなげる。
      • 【伝統的に強みのある業種の再活性】
        強みのある食品・建設・福祉・印刷・教育機器・社会人教育などの業種をさらに強化すると同時に、他分野のリソースの活用と他分野への貢献で相互強化する。
    • ○将来の成長のためのデータ活用ビジネスの強化

      DXのキーはデータ活用にあるものと認識し、各ICT分野でデータ活用に取り組み、顧客への貢献と当社の将来の収益モデルの開拓に取り組む。

      • 【民間市場のデータ活用】
        シェアの高い会議室運用支援サービス「SmartRooms」、オフィスワークでのナビゲーションシステム「SmartOfficeNavigator」を軸に、デジタルデータの統合可視化と生成AIを活用したデータ解析・アナリティクス等を支援する「Mμgen」など、当社ソリューション群を起点にサービスビジネスの強化・拡充を図る。
      • 【公共市場のデータ活用】
        二つのデータ連携基盤から顧客のデータ活用を推進する。
        • 自治体の情報システムの標準化と学校の児童生徒のデータの標準化を結び、子供たちのデータを子供たちのために活かす。
        • 国内外でCBT(Computer Based Testing)の展開を図り、CBTと多様なアプリケーションを連携できる学習デジタルエコシステムの構築を目指す。
    • ○グループ全体でのエンジニアリングリソースの強化

      上記の戦略的な市場の強化とデータ活用を支えるのは、顧客に近いところに立つエンジニアリングリソースにある。その強みはネットワークと業務系システムのノウハウにある。グループ全体を横断して民間・公共のシステムズエンジニアリングの強化と投資を行う。

      ※複数の専門領域にまたがる多様な価値を統合して全体最適を実現する考え方

  • (3)長期的な経営基盤の安定を図るための投資の拡大
    • ○グループ共通システムの整備の継続推進

      • グループの情報共有、業務効率向上とともに、フレキシブルな体制構築に不可欠な共通販売管理システムおよび周辺システムの整備を推進する。
    • ○人への投資の拡大

      • 採用の拡充・人材育成(次世代経営層の育成、DX研修)
    • ○働く環境の整備、安全安心の強化
    • ○ブランド価値の向上

      • 事業改革にともなうブランド発信の強化

第17次中期経営計画 基本的な考え方

Ⅴ.株主還元の考え方

株主様への還元につきましては、安定的な配当の維持を前提に「財務基盤の充実」と「中長期的な会社の経営戦略の実現に向けた投資」とのバランスをとり、その一層の拡大と充実を目指すことを基本方針といたします。
業績のベースラインのアップを基に、着実な還元の拡充を実現してまいります。

株式会社内田洋行
2024年9月10日

内田洋行グループ 第17次中期経営計画(2025年7月期~2027年7月期)について[PDF 1.37MB]

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