英国のネス湖にすむとされる世界で最も有名な未確認生物(UMA)のネッシーが、死んだ可能性が浮上した。初目撃から90年、毎月のように目撃されていたネッシーにこの1年半、まったく目撃情報がないというのだ。複数の英国メディアが報じて、騒ぎになっている。

 1925年に初めて目撃されたネッシー。写真に撮られたのは33年で、それ以降、世界的に知られるようになった。以来約90年、コンスタントに目撃・撮影されてきた。

 そのネッシーについて異変を指摘するのが、公認会計士でベテランのネッシー研究家ゲーリー・キャンベル氏だ。

「この18か月間、目撃情報がまったくない。21世紀になってから、目撃数は年々、減っていた。でもゼロというのは25年以降、この90年で初めてのこと。一体どこに行ったのか。ひょっとして死んだのか」

 キャンベル氏は17年前にネッシーを目撃して以降、目撃例や写真と映像を収集・記録し続け、これまで1036もの記録を集め、2012年にも数例集めたという。

 近年は誰もがカメラ付きのスマホや携帯電話を持ち、目撃すればすぐに撮影もしやすい。UFOの写真が年々増えているように、UMAの写真も増えておかしくない。だが、「昨年、寄せられた写真と映像には、ネッシーらしいものは一つもなかった。ちょっとでもネッシーかもと思わせるものさえなかった」と同氏は首をかしげる。

 英大手ブックメーカー、ウイリアムヒルの広報担当ルパート・アダムス氏も「昨年、ネッシー写真の登録は3件あった。でも、単なる波やアヒル、ネス湖じゃない他の湖での写真だった」と現況を明かす。ウイリアムヒルは07年、「ネッシーの存在を証明したら100万ポンド(現レートで約1億7400万円)払います」と発表し、世界中のUMAハンターを熱狂させた。それでも、昨年は的外れな写真が3枚しか送られてこなかったというのだ。

 ネッシーは世界一有名なUMAで、英国では重要な観光資源となっている。世界的旅行雑誌が昨年「2014年に旅行マニアが見たい世界の18の謎」を発表。3位がネッシー、12位がヒマラヤに存在するとされる雪男のようなUMA・イエティで、1位のモアイ像を含めて他はすべてピラミッドなどの建築物だった。

 これを英国の公共放送BBC放送は「ネッシーがイエティに勝った」と喜んで報じたほど。

 UMAに詳しいオカルト作家の山口敏太郎氏は「英国は怪物・UMA伝説を使った町おこし『クリプトツーリズム』を遂行しており、『ネッシー・オブ・ザ・イヤー』はその一環であり、毎年通好みのネッシー写真が寄せられる楽しいイベントである」と指摘する。そのネッシーが死んだとなると、国益の損失でもある。

 ネッシーは一体どうなったのか。「昨年、目撃件数がなくなったのは、いくつかの理由がある。まずは、カメラの性能が上がり、波や流木をネッシーと勘違いしなくなった点が挙げられる」

 山口氏はさらにこう分析した。

「あとは昨夏の英国の異常気象。異常な高温になり、違う場所に行ったのではないか。私の考えによると、ネッシーは日頃は海におり、繁殖などの理由がある場合だけ、度々地下水脈を通じてネス湖に遡上していたと思われる。その遡上がアイルランドなど違うエリアになった可能性はある」

 逆にアイルランドの川や湖では巨大生物の目撃が増えているという。

「イギリスのコーンウォール州沿いの海域、ファルマス湾ではネッシーそっくりな巨大生物が度々目撃されており、ここが海におけるネッシーの拠点だと思える」と山口氏。

 日本のツチノコやカッパなども、本紙に寄せられる目撃例が減ってきたかのように思われる。果たしてカメラの性能アップなのか、気候の変化なのか…。