1987年に米国・ニュージャージー州で行われたジョージ・スティール戦を最後にプロレス界を引退したキラー・カーン氏(69=本名・小澤正志)。引退後は30年近く食文化を追求してきたが、東京・新大久保駅近くに「居酒屋 カンちゃん」を16日、開店する。

 新大久保は、韓国料理店と韓国コスメ店が並ぶ“コリアンタウン”のほか、イスラム料理店とハラルフードショップが立ち並ぶ“イスラム横丁”があり、さらにネパール料理店が多く“リトルカトマンズ”とも呼ばれる多国籍な街だ。

 そんな場所で「カンちゃん」を開店するカーン氏はやる気満々だ。

「“味は最高、量は多く”がモットーです。和食、中華を中心にちゃんこ鍋もやっています。和食の板前さんや中華のコックさんは一流の人に来てもらっています。儲けは考えていませんね。“お客さんに喜んでもらいたい”って思ってやっています。飲食店は原価に3倍とかの額をつけるでしょ。でも、そんなことはしたくないですよ。歌舞伎町の店はたたみました。歌舞伎町は思い通りにはいきませんでしたね。ホストクラブばかりが入っているビルだったんですよ」とカーン氏。

 プロレス引退後「スナック カンちゃん」など8店舗を切り盛りしてきたカーン氏は生涯現役を貫き通す。その信念は母親から譲り受けたもの。母親は死の前日まで車椅子に乗って仕事をしていたという。元プロレスラーが引退後に飲食店を経営するケースは多いが、カーン氏ほど長いのは珍しい。

「ここまでやってこれたのは母の影響が大きい」とカーン氏。

 全盛時は「蒙古の怪人」「闘うモンゴリアン」との異名を持ち、モンゴリアン・ギミックの大型ヒールとして国内外で活躍。身長195センチという大柄な体格でありながら、優しくて繊細な部分のあるカーン氏はこれまで同様、新大久保の店にも毎日出るという。