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渋谷の「モヤイ像」、再開発工事に伴い移設 クレーンでつり上げ慎重に移動

11月29日深夜、移設場所への設置作業のためクレーンでつり上げられたモヤイ像

11月29日深夜、移設場所への設置作業のためクレーンでつり上げられたモヤイ像

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 渋谷の待ち合わせスポットとして知られる渋谷駅西口の石像「モヤイ像」が11月28日深夜から30日未明にかけて、渋谷フクラス(渋谷区道玄坂1)裏手の国道246号線沿いに移設された。

トラックに積まれ移動するモヤイ像

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 ハチ公像と並び、渋谷駅前のシンボルの一つとして知られる「顔面」2メートル超えの巨大な石像が新たな設置場所に無事移動した。渋谷駅周辺で大規模な再開発工事が進む中、モヤイ像が設置された駅西口では今年4月、工事に伴う進路変更でバス停なども含む周辺一帯を閉鎖。「待ち合わせ場所」の役目を果たせないまま、半年以上工事現場の中に「一人」たたずんでいた。

 移設場所は、西口ロータリーを挟んで直線距離で約200メートル離れた246沿い。複合施設「渋谷フクラス」の裏手で、左隣には1階に中華料理店「長崎飯店」が入るビルが立っている。2日にわたる移設作業は28日深夜に着手。像はその前段階で根元の土がよけられ、一時的に「首長」状態になっていた。同日夕方には金王八幡宮(渋谷3)の神職による安全祈願の儀式を執り行った。

 作業開始は終バス後、人けのなくなった深夜0時過ぎ。神社仏閣などの運搬を専門に扱う業者が、まずは像の頭上や頬の部分などを入念に養生。駅西口の解体工事で使われているクレーンを、この日はモヤイ運搬用にも活用する形で像をつり上げた。首回りにぐるぐると巻き付けた太いひもに、つり上げ用のチェーンを取り付け、ゆっくりと引き上げられた像は、首をかしげることもなく水平にバランスを保ちながら丁寧にトラックに積み込まれた。車上でさらに養生を強化し、シートに覆って、晴海にある運搬会社の倉庫までいったん運ばれた。

 作業2日目は翌29日の深夜。前日のつり上げ作業を経て、倉庫で「待機」していたモヤイ像は、深夜0時を回ってから新設場所に到着。移設先の現場では23時過ぎから周辺に規制帯を設置し、傾斜のかかったスペースをフラットにして、長さ3.5メートル、横3.2メートルの四角いスペースに、約5センチのモルタルを打った状態でモヤイ像の到着を待った。

 その後、20トンクレーンが到着し、荷台に載せられていたモヤイ像をチェーンでつり上げ、移動。電線や木などを避けながら慎重に動かし、作業員の手でもバランスを取りながら、設置場所にゆっくりと下ろされていった。モヤイ像の正面の顔は、同像を寄贈した新島村の方向を向くように細かく調整。セルリアンタワー側の南西方面に顔を向ける形で、無事、設置作業を終えた。

 新島の東京都移管100年を記念して、1980(昭和55)年に渋谷区に寄贈されたモヤイ像は、同島産出のコーガ石を使い地元のアーティストが制作。「モヤイ」は新島の言葉で「力を合わせる」「助け合う」などを意味し、正面の長髪のサーファーの顔は「あんき(にいちゃん)」、裏のひげのある顔は「いんじい(おじいさん)」を表現。渋谷駅西口で長年、待ち合わせスポットとして親しまれてきた。

 移動先では今後、周りに土を入れ根固め。モヤイ像周辺で20年以上植栽を続けている、ボランティアによる「渋谷Flowerプロジェクト(通称=シブハナ)」が、西口にあった植栽を再活用し像周辺を草花で飾るという。像を囲むように腰かけベンチにもなる円形の柵も設置する。

 工事は12月20日に完了。

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