警察当局によると、過激派組織「イスラム国」(IS)に参加しようとしてシリアとの国境地帯でトルコ治安当局に拘束され、国外退去処分になった日本人の男性(23)が24日夜、民間機で関西空港に到着した。一体、彼の動機は何だったのか。「おとなしい子だったのに…」。男性は和歌山県在住で、家族や男性の人柄を知る人々の間には衝撃が走った。
「何も分からない状況です…」
24日午後、同県白浜町にある男性の実家で産経新聞などの取材に応じた母親(49)は、動揺を隠せなかった。「息子ではないか」と感じたのは同日朝。テレビ画面に、息子と輪郭がよく似た男性が映し出されていた。
母親が最後に男性と話したのは今月14日。電話で「1人で旅行に行ってくる」と告げたきり、連絡は途絶えたままになっていたという。
母親は、「無口でおとなしい子。過激なことをする子ではないと思っていたので驚いている」と話した。「まだ外務省などから連絡はないが、危険な地域に入る前に拘束されてよかった。世間をお騒がせして申し訳ない」と涙ながらに語った。
関係者によると、男性は4人きょうだいの長男。地元の小中学校を経て、同県田辺市内の工業高校へ進学した。同市内には祖父母が住んでおり、近隣住民によると、最近まで同居していたという。祖父とみられる男性は「今はいない。何も聞いていない。知らない」と短く答えた。