フェルメール「窓辺で手紙を読む女」後世の人が上塗りと判明

フェルメール手書きのキューピッドは、別人による上塗りで隠れていたが(右)、修復により姿を現した(左)=ヨハネス・フェルメール「窓辺で手紙を読む女」(1657-1659頃)、キャンバスに油彩、Gemäldegalerie Alte Meister(c)SKD、撮影:ヴォルフガング・クライシェ
フェルメール手書きのキューピッドは、別人による上塗りで隠れていたが(右)、修復により姿を現した(左)=ヨハネス・フェルメール「窓辺で手紙を読む女」(1657-1659頃)、キャンバスに油彩、Gemäldegalerie Alte Meister(c)SKD、撮影:ヴォルフガング・クライシェ

 ドイツ・ドレスデン国立古典絵画館は7日、同館が所蔵するヨハネス・フェルメール(1632~75年)の作品「窓辺で手紙を読む女」の上部に、キューピッドが描かれていたが、フェルメールではなく、後に別人が上塗りしたことが明らかになった、と発表した。

 オランダ17世紀の黄金期を代表する画家、フェルメールの現存する作品は三十数点とされている。手紙と女性を題材にした作品を6点残しており、「窓辺で手紙を読む女」は最初の1枚とみられている。絵画の中に額装絵画(画中画)を描く手法を好んで用い、大阪市立美術館(大阪市天王寺区)で開催中の「フェルメール展」(12日まで)に出品中の「恋文」などにも同様の手法がとられている。

 「窓辺で手紙を読む女」については、1979年のX線調査ですでに、キューピッドの額装絵画が描かれていることが明らかになっていた。一昨年春から本格的に始まった修復作業の過程で、X線や赤外線を使った最新の調査などから、キューピッドが塗り込められたのは、絵画作成の数十年後、フェルメールの死後であることがわかり、本人による上塗りではないことが判明した。

 この日、同館で行われた記者会見に出席した、フェルメール研究の世界的な権威、元ワシントン・ナショナル・ギャラリー学芸員のアーサー・ウィロック氏は上塗りされた目的について、「当時さほどフェルメールは知られておらず、高く売買するために上塗りをして、同時代の画家、レンブラント風にしたのではないか」という。

 同館では今後、上塗りを除去する修復を進める予定で、修復中の状態の絵画を展示することにしている。

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