今年、日本が議長国を務める20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で目指している大手IT企業のデジタルサービスへの課税ルール作りが、難しい情勢となっている。英仏などが独自の「デジタル課税」に動き、参加国の足並みが乱れ始めているためだ。6月に福岡市で開催される会議で着地点を見いだせるか、予断を許さない。
「デジタル化に伴う課税原則の見直しについての議論とともに、租税回避・脱税への対応に取り組む」。麻生太郎財務相は昨年12月、アルゼンチン・ブエノスアイレスでのG20首脳会議(サミット)終了後の記者会見で、ルール作りを目指す意向を表明した。
ルール作りは、グーグルやアマゾン・コムなど大手IT企業が国境を越えた事業活動で巨額の利益を上げながら、現行の国際税制では適正な課税ができていないことが背景にある。EU欧州委員会の調べでは、従来型企業の法人税支払いは収益の23.2%だが、大手IT企業は9%程度だ。
G20や経済協力開発機構(OECD)での議論を通じ2020年までのルール確立を目指しているが、巨大IT企業を擁する米国や中国は反発。EU欧州委は昨年3月、一定規模のIT企業について加盟国ごとの売上高に3%課税する案を示しルール作りを進めてきたが、一部の国の反対で年末までの合意を延期した。