【ワシントン=塩原永久】トランプ次期米大統領が「国家緊急事態」を宣言し、輸入品に一律に追加関税を課す案を検討しているとの見方が浮上している。米CNNテレビが8日、政権移行チーム関係者らの話として報じた。大統領権限を用いて迅速な関税発動が可能になる手法で、関税強化を掲げるトランプ氏の強硬な姿勢がうかがえる。
CNNによると適用が検討されているのは「国際緊急経済権限法(IEEPA)」。大統領が国家緊急事態を宣言することで厳格な要件を必要とせず関税を発動できる。
トランプ氏は第1次政権で、通商拡大法232条などの通商法を多用した。IEEPAは、通商法が求める産業界への意見聴取などの手続きが不要となる。
トランプ氏は大統領選を通じ、友好国、敵対国の分け隔てなく10~20%の関税を上乗せする可能性を示唆してきた。関税発動の脅しをかけ、相手国に不法移民や違法薬物の流入阻止などを求める狙いがあるとみられる。
関税発動の決定で大統領の自由度が高まるIEEPAを、トランプ氏が新政権で活用する可能性は、これまでも通商専門家に指摘されてきた。
CNNによると最終決定されていない。また、大統領へのチェック機能が効きにくいIEEPAを根拠とする関税発動には、議会側から反発が出る可能性もある。