首相官邸では、報道各社が政治部の若手記者を「首相番」として配置し、首相の一挙手一投足に目を光らせている。石破茂内閣の支持率はじり貧が続き、少数与党で臨む令和7年の政権運営も困難を極める可能性が高い。産経新聞政治部の番記者たちは、今後の政局で焦点となるトランプ次期米大統領との会談でのふるまい方に話を進めた。
嫌われていないからこその評価
──首相は官邸の職員からどう見られているか
A記者「首相秘書官は『国会答弁も記者会見も自分の言葉でしゃべることにこだわる』と口をそろえる。嫌われていれば出ない言葉ではないか」
B記者「首相も疲労がたまっている。ただ、その不満を周囲にぶつけている様子は感じ取れない」
──首相の陰気なキャラクターはどう映るか
C記者「今は政治家に華やかなスターより、親近感があるタイプの方が求められている気がする」
A「小泉進次郎元環境相や、東京都知事選で躍進した石丸伸二氏より、見ていたら首相に好感を持つようになってしまった」
B「首相の予算委員会での答弁を最後まで聞くと、付け焼き刃ではない話の中身や、ちゃんと受け答えしようという姿勢を感じる。それが国民に浸透していくための時間をどう稼ぐかが(安定政権を築く上での)カギになるのでは」
トランプ氏は陽キャのトップ
──トランプ氏と会談する際も首相らしさを出すべきか
C「それは別問題。付け焼き刃でも正しい外交儀礼で臨む必要がある」
A「首相がトランプ氏と並び立って最初から『仲良くやろうぜ』という絵は想像できない。トランプ氏はゴリゴリの〝陽気キャラクター〟で『スクールカースト』(中高生の教室内での見えない序列)のトップ。トランプ氏はイライラしてしまうのでないか。首相から『あってはならんのであって…』なんて言われたら」
もっとさまざまな人と出会いを
──令和7年、首相に望むことは
A「首相は政策の好き嫌いはある一方、何事にも興味を持ちやすい性格で勉強家のようだ。手薄となっているジャンルに『好き』の幅を広げてほしい」
B「政治は政局の話題ばかり。どこか遠い世界の話で、生活に関わる話をしてくれないとの不満が私の周りにある。政局ではなく、政策や熟議の姿勢で政治の信頼回復に努めてほしい。政治とカネの問題を経て首相になったのは、そういう政治家が求められたのだと思う」
C「首相の著書を読むと書籍からの引用が多い。コツコツ勉強を重ねたのだろう。ただ、せっかく政治のど真ん中にいるのだから、古い本からではなく、もっとさまざまな人と出会って新鮮な情報を仕入れ、政策を進めてほしい。考え方に変化が出てくるかもしれない。最後に、記者団を通して国民に届けるんだという思いで、もう少し大きな声でしゃべってください」