<独自>違法選挙動画で金もうけダメ 収益支払い停止、自民がSNS対策で法改正検討

自民党が、選挙期間中に交流サイト(SNS)上で誹謗(ひぼう)中傷や偽情報と思われる発信が相次いでいる問題を受け、SNSを運営するプラットフォーム事業者が動画投稿による収益の支払いを停止できるようにする法改正を検討していることが28日、分かった。収益化を目的に真偽不明の情報が拡散され、選挙に影響を及ぼしかねない事態となっていることから対策強化を図る。複数の関係者が明らかにした。

多くのSNSは、動画の再生回数に応じて収益を得られる仕組みを採用している。より多額の収益を得ようと、注目を集める選挙で真偽に関わらず過激な動画が配信されるケースが頻発している。

4月の衆院東京15区補欠選挙では、政治団体「つばさの党」幹部が対立候補の選挙カーを追跡する動画をユーチューブで配信し、収益を得ていた。11月の兵庫県知事選では、候補者の主張に関するデマや真偽不明の情報が広く出回り、有権者の投票行動に影響を与えた可能性がある。

現行の「情報流通プラットフォーム対処法」は大規模プラットフォーム事業者に対し、違法投稿への対応の迅速化などを義務付けている。同法は選挙の候補者の名誉を毀損する内容の投稿を削除しても賠償責任を負わない特例も設けている。

自民が検討を進める法改正では、こうした特例に収益の支払い停止も追加する方向だ。SNSに関する規定がない公職選挙法の改正なども検討し、来夏の東京都議選や参院選を前に一定の結論を得ることを目指す。

自民選挙制度調査会などは今年12月、選挙期間中のSNS対策について本格的な議論を始めた。同月に初会合を開いた自民、立憲民主党など与野党7党が選挙運動の法的な課題を話し合う協議会でも、SNSによる偽情報の拡散や中傷への対策を検討する見通しだ。対策では、憲法が保障する「表現の自由」との兼ね合いも課題となる。

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