万博海外パビリオン、開幕後の会場工事不可能 事務総長明言、整備費回収できない恐れも

大阪・関西万博会場の夢洲=大阪市
大阪・関西万博会場の夢洲=大阪市

2025年大阪・関西万博で海外パビリオンの建設が遅れている問題を巡り、日本国際博覧会協会(万博協会)の石毛博行事務総長は18日の博覧会国際事務局(BIE)の総会で、来年4月の開幕後に会場で工事を受け入れることは不可能との認識を示した。参加国に対して今月中に開幕に間に合うかどうか確認し、間に合わない国には日本側が建てるパビリオンへの移行などを提案する。

BIEの総会はオンラインで開催された。石毛氏は、会場が人工島の夢洲(ゆめしま)(大阪市此花区)で、工事車両の進入に制約があると説明した。

万博協会によると、今月13日時点で、参加国が自前で建設する「タイプA」を予定する52カ国のうち、12カ国の建設業者が決まっていない。海外パビリオンを取り巻く1周約2キロの大屋根(リング)が完成することなどから、協会はパビリオンの外観の完成目安を10月中旬としている。

海外パビリオンの建設遅れについては、日本建設業連合会の宮本洋一会長(清水建設会長)が19日に東京都内で開いた定例会見で「心配だが、私たちでどうこうできる問題ではない」と言及。「1日も早く残りの国も建設業者との契約を進めてもらうことが一番だ」とし、日建連として可能な限り協力していく考えを示した。

一方、万博協会は建設工期短縮のため日本側が代行建設する簡易型パビリオン「タイプX」への移行を促しているが、タイプAを断念した国の移行が進んでいないため全ての整備費が回収できない恐れがあることも判明した。数十億円の費用負担が生じる見通しで、回収できなかった分を会場建設費の予備費130億円から捻出することを検討している。(井上浩平、黒川信雄)

会員限定記事

会員サービス詳細