それでも山城被告は演説後、「何とか終えられてほっとしてます」と記者団に語り、安堵の表情を見せた。
ただ、山城被告の演説に厳しい評価を下したNGO関係者らがいた。
チベットの人権問題に取り組むNGOの幹部もその一人だ。この幹部は山城被告の演説について「彼は苦しんでいる他の誰かのためにスピーチしたのではなく、個人的な、個別のケースについて述べたに過ぎない。全く理解できない。日本政府が人権を侵害しているというのなら、他のいろんなケースを述べるべきだ」と切り捨てた。
5日間の取材期間中、約200ものNGO関係者が演説した。その中で目立ったのは、この幹部が語ったような「他の誰かのための演説」と、中国による人権侵害を訴える団体の多さだった。
山城被告の演説の前日には、亡命ウイグル人の組織「世界ウイグル会議」のメンバーが演説し、中国・新疆ウイグル自治区での人権侵害について訴えた。
「この10年間、ウイグルの学生、教師、公務員、党員は全て断食が禁止された。ホータン県では、何百人もの中国共産党幹部がウイグル族の家庭に移り住み、断食や礼拝ができないようにした」
「過去6カ月間に、エジプト、トルコ、フランス、オーストラリア、米国に留学中の数千人ものウイグル人学生が中国に強制帰国させられた。帰国させるため、学生の親類が数カ月間にわたって拘束されたケースもある」
「中国政府は、2017年にウイグルの若者を対象とした締め付けを拡大した。まさに今月、新疆ウイグル自治区の公安当局は、16歳未満の子供の名前がメッカ、イマム、イスラムなど『過度に宗教的』である場合は改名するよう親に命じた」