横浜市鶴見区のアパートで2018年、同居女性の長男紺野叶志郎ちゃん(当時4)を虐待して死なせたとして、傷害致死などの罪に問われた内田正也被告(32)の裁判員裁判が24日、横浜地裁(吉井隆平裁判長)で開かれ、検察側は懲役12年を求刑した。判決は来年1月21日。

検察側は論告で「叶志郎ちゃんの頭部に揺さぶりのような外力が加わった」と指摘。被告の説明は不自然で信用できないとし、抵抗できない幼児を相手にした悪質な犯行だと述べた。叶志郎ちゃんの母は「どうしてあんな目に遭わなければいけないのか知りたい」と意見陳述した。

内田被告は初公判で「暴力を振るっていません」と起訴内容を否認。弁護側もソファからの転落などの理由で死亡したと無罪を主張していた。

起訴状によると、内田被告は17年9月に叶志郎ちゃんの額を殴って打撲を負わせた他、18年1月には頭や首に強い暴行を加え、同25日に頸髄(けいずい)損傷による脳浮腫などで死亡させたとしている。

横浜市や神奈川県警などによると、女性が17年9月、叶志郎ちゃんが暴力を受けていると県警に相談し、県警が児童相談所へ通告。児相は虐待を認定したものの、叶志郎ちゃんを保護せず対応を問題視された。(共同)