コンサートでオーケストラを指揮する久石譲さん(Photo:Kei Kanemaru)

 スタジオジブリ作品などの映画音楽や斬新な現代音楽で知られる作曲家の久石譲さん(74)。指揮者として世界を飛び回る一方で、戦争をテーマにした楽曲も手がける。戦後80年、その音楽は私たちに何を問いかけるのか。平和への思いを聞いた。

■「反戦コンサート」にしたくなかった

 戦後80年と言いますが、僕はもう戦後ではなくて「戦前」だと感じます。ロシアとウクライナ、イスラエルとパレスチナ、他にも世界では多くの争いが起きています。次の大きな戦争がすぐそこまで来ているのではないか、と心配しています。

 コンサートで世界中を回りながら感じるのは、人々がお互いの「違い」ばかりを言うようになってしまったということです。特に2001年の米中枢同時テロ以降、「違いはあるけど一緒にやろう」という風潮はなくなってしまった。今では想像以上に世界はぎくしゃくし、あらゆるところで分断が起きています。