「藤井風マジでヤバいので曲聴け」「藤井風マジでスゴいのでMV見ろ」
以前から色んな人にそういった声をいただいていたんですが逃げてました。なんか「聴いたら才能に絶望する」とか脅されたので…
・藤井風(本名)
・身長181cm
・年齢24歳
・岡山県の人口約1万人の小さな町出身
・実家は喫茶店を営んでいる
・4人兄弟の末っ子。「空・陸・海・風」という自然にちなんだ名前がつけられている
・3歳からピアノを習いジャズ・クラシック・ポップス・歌謡曲・演歌など、あらゆる音楽を聴いて育つ
・絶対音感を身につけるための教育を受け、習得
・一度覚えた曲は忘れず、ピアノで弾くことができる
・父の「これからはYouTubeの時代」という言葉により、12歳からピアノカバー動画をYouTubeにアップ
・ベジタリアン(ビーガン)
・小学生時代、ランドセルの色は黒が多い中、青で登校していた
・映画館に去年初めて行った
・ホームセンターに売ってる風呂栓のチェーンで自分で作ったネックレスをしている
・口笛が吹けない
・口癖は「言うてますけどmore…」
な〜〜〜〜〜〜〜!!?!?!?情報多すぎるだろ。「ぼくのかんがえたさいこうのものがたりのさいきょうのしゅじんこう」か?文字の輝きで目焼かれた。創作物、漫画のキャラじゃねぇかよ。連載誌どこだよ。こんな設定が大渋滞してる主人公ジャンプでもいねぇって。神様のギフトの箱デカすぎるだろ、なろう系小説でももうちょい設定おさえるわだろ。「父からピアノやサックスなどを習う〜」あたりで「やりすぎた」ってなるだろ。「絶対音感を身につけるための教育を受け、習得」ってどういうことだよ。絶対音感ってそんな進研ゼミとかユーキャンやるみたいなノリで習得できるんですか?
「12歳からピアノカバー動画をYouTubeにアップ」?藤井風はYoutuberの始祖、ということでいいですか?もはやヒカキンよりヒカキンだろ。親父、一万円札になるレベルの先見の明。しかも見たら弾き語りの選曲の幅どうなってんだよ、ジャミロクワイに椎名林檎におどるポンポコリンに千本桜に宇多田ヒカルに木綿のハンカチーフにSuchmosに矢島美容室にエルトン・ジョンにLemonにビリー・アイリッシュ?この世の音楽を全て吸収する魔王か?
一番意味わからなかったのがm-flo『come again』。「電子音楽の極」みたいな曲をピアノ一本で弾き語りしてるんですけど、指の動き速すぎて誇張でもなんでもなく20本に見えた。しかも、途中ピアノから手離してパンパン手拍子してるし歌もLISAのパートだけならまだしもVERBALパートでゴリゴリのラップしながら楽譜も手元も見ずに。は?本当にこれ実写?しかもカバー曲を自分なりにアレンジして凄いだけならまだ説明つくのにオリジナル曲の完成度がそれを遥かに超えてくるのどういうことなんだよ。
なんでこんな久保田利伸と田島貴男と玉置浩二ミックスさせたような声出るの?
「若いのにスゴい」みたいなアホの定型文使いたくないんですけど、滲み出るエロチズムが23のそれじゃねえ46の貫禄だろ。竹野内豊、西島秀俊、反町隆史、藤井風で並べられる。メチャクチャ「時代作る顔」してる。なんで雰囲気が昭和の文豪みたいなんだよ。太宰が転生してるだろ。「実写版文豪ストレイドッグス」か?
それをふまえた1stアルバム『HELP EVER HURT NEVER』、新しいのに懐かしい、美しいのに荒々しい、生まれた瞬間からキッチリ英才教育受けてる洗練されたエリート感もあるし、ずっと森で育ってきた子供に適当にピアノ弾かせたら腰抜かすほどの才能秘めてましたみたいな自然さもある。理性と野性が仲良くシェアハウスするな。
デビュー曲『何なんw』とか、俺のセリフだろ。おまえがなんなんだよ。タイトルとメロディと歌と歌詞とアレンジのアンバランスさエグすぎる。タイトルで急にクソオタクのネットスラングブチ込んで草を生やしてきて、どんなおふざけソングだよと思いきやどこの洒落バーかと錯覚するR&Bのメロディに性感帯を直接刺激してくるような絶頂低音ボイス、方言全開の口語で綴られた歌詞、青のりとウンコが歌詞に登場するR&Bってなんだよ。
岡山のド田舎とニューオーリンズの大都会が隣り合わせで建ってるような感覚。たしかにアンバランス、なのに「違和感」がまったくない、全部が絶妙に絡み合い共存。違和感のなさの正体は「それが藤井風だから」あとから付け足されたものじゃない、R&B感も岡山弁も青さ粉も肥溜めも、藤井風の人生から自然と溢れ出たものだから、としか説明のしようがない。極めつけは、この曲に対する本人の解説、
誰しもの中に存在しているハイヤーセルフを探そうとする歌です
わしはハイヤーセルフが一人一人の内に存在していると信じています
彼(ハイヤーセルフ)はエゴ・利己心・嫉妬とかそーゆー色んなネガティブな感覚と無縁の存在で、彼のすべては愛です
彼(ハイヤーセルフ)は「ワシの言うことを聞いてくれ」「あんたに幸せになって欲しいだけなんじゃ」的なことを歌っています
助けてくれ
魂との自己内対話の曲?はあ?もうなにもわからない…俺はいったいなにを聴いてるんだ…ピカソの『ゲルニカ』見たときの衝撃に近い…理屈じゃなくて本能が「この曲は、この男はヤバい」って叫んでいる…
なんなんだ藤井風…いったい何者なんだ
曲だけでも生きとし生ける森羅万象に良いと思わせるだけの圧倒的パワーがあるのにそれ以上に藤井風という「人間」のことをもっと知りたくなってる俺がいる。藤井風…もっと…もっと伝説くれ…もっと俺を絶望させてくれ
そして、俺は全身に藤井という名の風を受けて最終的にT.M.Revolutionのミュージックビデオみたいになりたい。