JR大船駅をはじめ首都圏各駅で販売されている「鰺(あじ)の押寿(おしず)し」や日本初のサンドイッチの駅弁で知られる「大船軒」(鎌倉市岡本)の旧社屋兼工場の行方に注目が集まっている。工場は、「大船軒」がJR東日本クロスステーションとの合併に伴い、5月末で操業を停止。地域住民からは、1931(昭和6)年建築のレトロモダンな建物の今後を案ずる声も出ている。
1898(明治31)年に営業を開始した大船軒は、業績の悪化などを理由に2009年にJR東日本のグループ会社傘下に入った。その後、今年4月にJR東日本クロスステーションと経営統合。6月から埼玉県戸田市の工場で弁当製造を続けている。
戸田市の製造拠点では、最新の機器を使用し、高品質な商品作りに努めている。大船地区へは配送時間が増えることになったものの、同社の配送ルートを活用することで、効率化を図っているという。同社は「今後も『大船軒ブランド』を継承していきたい」としている。一方、製造工程で発生した皮の破れたいなりを使った“アウトレット品”の「特得いなり」などは販売を終了した。
弁当の掛け紙などゆかりの文化的資料は
5月末で操業停止の「大船軒」 鎌倉の旧社屋兼工場、行方は?
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5月末で操業を停止した「大船軒」の社屋兼工場。現在は建物の前にあった自販機も撤去されている=9月7日、鎌倉市岡本 [写真番号:1190832]