群馬県前橋市の電子地域通貨「めぶくPay」を巡り、市と通貨を運営するめぶくグラウンド(同市表町)は23日、98万9000円の不正チャージが確認されたと発表した。同通貨での不正利用の発覚は初めて。マイナンバーを使わずに登録できる方法で取得されたアカウントによる不正利用だったとし、同様の方法での新規登録を停止した。

 同社によると、18~19日にチャージが行われ、加盟店での支払いに利用された。何者かが、不正に抜き取った8件のクレジットカード情報でめぶくPayが使えるよう登録していた。クレジットカード会社から「不正チャージが疑われる」との連絡を受けて、事態を把握した。

 不正利用をしたアカウントは、メールアドレスのみで登録されたものだった。市内イベントへの来訪者らにも利用してもらおうと、マイナンバーを使わない手法として10月に登録方法を新設していた。今回の事態を受け、メールアドレスのみでの新規登録は1月6日まで停止する。

 めぶくPayはセキュリティー強化の一環で、決済前に本人のメールアドレスや電話番号に通知される認証コードを打ち込み手続きを進めるシステム「3Dセキュア2.0」を導入している。今回の不正利用について、同社は「市民への金銭的な実害はない」と説明しつつ、利用された額などは「現在公表できない」としている。被害届は同社やカード会社など民間事業者間で提出に向けて調整している。

 めぶくPayは昨年12月に運用を開始。9月時点で約1万9000人、加盟店は1353店となっている。今月9日からは支払額の20%をポイント還元するキャンペーンを実施。当初31日までだった期間を21日で終了する好評ぶりだった。市にぎわい商業課は「不正チャージの発生は心外。対抗策を講じていく」としている。