テレビドラマ「黄金の刻(とき)~服部金太郎物語~」は、国産初の腕時計を発売したセイコーグループの創業者、服部金太郎の人生を描く。楡周平さんの小説をドラマ化した。明治~昭和期に服部時計店などを創業、発展させた金太郎を中心に「日本中に平等な時」を届けようと奮闘した人々の姿を重厚感たっぷりに映し出す。沼田市と館林市で一部のロケをした本作は、テレビ朝日で今年3月に一夜限りで放送された。

 真面目で義理堅い人柄の服部金太郎役を西島秀俊さんと水上恒司さん(青年期)が演じた。服部はでっち奉公から時計修理職人となり、時計製造工場「精工舎」を設立。時々で奉公仲間だが仲たがいした岩倉善路(浜田岳さん)による嫌がらせや火事、関東大震災などの困難に遭うが、持ち前の誠実さや周囲の助けによって立ち上がり続ける。妻まん(松嶋菜々子さん)は本県の綿問屋の娘という設定。「群馬県高崎町」と作中に出てきて、記者も内心にんまりさせられた。

 沼田市の中心市街地の一角には大正ロマンをテーマにした街並みが整備され、趣深い歴史的な4棟を楽しめる。旧土岐家(ときけ)住宅洋館と旧沼田貯蓄銀行で撮影。旧日本基督教団沼田教会紀念会堂は出演者の控室に利用した。

 館林市の旧秋元別邸は服部の自宅として撮影。一軒家を丸ごと活用し玄関や縁側、広間が胸熱くなる各場面で使われた。ドラマを思い出しながら室内を回ると、服部が実際にここで生きていたかのような感覚になった。