涼しげシーグラスアートが人気 上越市の下鳥さんが後遺症抱え制作中

海岸で見つかるガラス片「シーグラス」を使ったアート作品を自宅アトリエに展示している新潟県上越市大和4の下鳥幸彦さん(58)。大病の後遺症と戦いながらも懸命に制作する作品の数々は宝石のような輝きを放つ。今の季節、夏向けのインテリアやオブジェを探しにアトリエを訪れる人たちの姿も多く見られる。

下鳥さんの作品が並ぶアトリエ

「シーグラス」は海で見つかるガラス片で、荒波にもまれて次第に角がとれ、くもりガラスのような風合いが特徴。色も形も様々で「海の宝石」とも呼ばれている。アート作品は涼しげな見た目や色味の美しさなどから特に夏の時期、女性を中心に高い人気を誇る。

作品制作に励む下鳥さんは2014年、脳出血に倒れた。内装会社を営み、仕事で全国を飛び回る毎日を襲った突然の出来事だった。

手術を終え、少しずつ回復していったものの、右半身には麻痺(まひ)が残った。当時を「絶望の日々だった」と振り返る。自宅でふさぎ込む様子を心配し、気分転換のためと妻に誘われたドライブで直江津海岸に立ち寄り、偶然見つけた一片のシーグラスが下鳥さんの人生を変えた。

ペンギンをイメージしたかわいらしい作品

アトリエは自宅に隣接しており、約10畳ほどのスペース。シーグラス作品は立体額や多彩なランプなど、所狭しと並ぶ。当初はシーグラスに目や口など、さまざまな顔の表情を描き込む置物を中心に制作していたが、2年ほど前からはアクセサリースタンド、ランプなどを考案。ランプの傘の部分は独自に開発した特殊な接着剤でシーグラスを貼り合わせて作る。ランプに明かりがつくとシーグラスが輝き、室内は幻想的な世界が広がる。今は涼しげな雰囲気が漂う夏や海、魚をイメージした作品が人気だ。

人気の丸形ランプ

傘の部分は特殊な接着剤で貼り合わせた

左手を駆使し、朝から晩まで毎日制作に励む。制作の合間は自宅敷地で育てるブドウの手入れで息抜き。アトリエに訪れる人との会話も楽しみ、「励みにもなる。人との交流を通し、救われることもたくさんある」と下鳥さん。「体の不自由な人からもぜひ(作品の)実物をみてもらいたい。自分の制作活動を通して勇気や元気を伝えることができれば」と話している。

上越妙高駅より車で約3分のアトリエ

「アトリエ・ユキ」は上越市大和4−5−15。上越妙高駅より車で約3分。コロナ感染防止のため、完全予約制で1組ずつの鑑賞となる。アトリエは2階にあり、緩やかな階段も設置している。木曜は休館。問い合わせ、予約は090−8723−8086。