事実を整える

Nathan(ねーさん) ほぼオープンソースをベースに法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

オープンレター「女性差別的な文化を脱するために」公開終了告知文の問題

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余りにもおかしい所が多過ぎる

オープンレター「女性差別的な文化を脱するために」公開終了告知文の問題

  1. 不合理な偽造対応とオプトアウト方式の継続
  2. 簡単に偽造できるのにオプトアウト方式を取り続けている謎
  3. どこまでも続く被害者意識と署名の杜撰な対応の棚上げ
  4. 批判を誹謗中傷、一部界隈の仕草を「文化」とする「言葉のインフレ化」
  5. 「業界における女性差別的な文化」は可視化されてないのに強弁
  6. 個人処分は「私は思ってない」瑕疵の治癒が不可能な言い訳
  7. 問題解決せず事前説明無く「紙媒体で記録化検討」と「正史」の作出
  8. 実は小木田順子(編集者)が消えているお知らせ:説明無き離脱

オープンレター「女性差別的な文化を脱するために」公開終了告知文「氏名詐称による賛同への対応と本オープンレターの今後について」の問題としてざっと挙げるとこんな感じでしょうか。

不合理な偽造対応とオプトアウト方式の継続

本オープンレターへの賛同について、これまでも悪戯と思われる署名についてはその除去に勤めてきましたが、 このたび他人の名前を騙る悪質な署名偽造があったことがあらためて判明しました。差出人として、お名前を利用された方々には、対応が遅れ、多大なるご不便ご迷惑をおかけしていることを、心よりお詫びいたします。詐称であったことが確認された方および賛同撤回のお申し出があった方のご氏名については削除の対応をしています。また詐称であったことが確認された方については、ご本人が希望される場合には、今後別途そのお名前を掲載し、この間の氏名掲載がご本人のご意志ではなかったことが明確になるようにいたします 。 

「削除の対応をしています」⇒完了形ではなく現在進行形です。

このレターが出された時点で(この記事を書いている時点でも)削除依頼をしていた高野秀行 氏と大橋直義 氏の情報が未だに掲載されたままです。削除依頼をしてから10日以上経過しているのに、いったい何をしているのか?

「国際信州学院大学」という架空のネタ大学の名前が掲載された際(署名締切前)には20時間で削除されているし、この間にも他の削除依頼者の情報は削除されているのに、意味が分かりません。このような状況なっていることの説明も無い

さらに、山形大学理学部物質生命化学科の天羽優子准教授=apj氏からは、オプトアウト方式の継続について手厳しい意見があります。

「オープンレター 女性差別的な文化を脱するために」の問題点|apj|note

そもそも賛同した覚えのない人の名前が賛同者リストに出ていることがわかってきた。署名を集める時のチェックがザルで、なりすましのイタズラが混じった可能性もある。

賛同した覚えがない人が混じっていることが分かった後も、発起人の側に、きちんとチェックし直そうという姿勢が全くない。悪いのはなりすましをやった誰かだと非難し、身に覚えがないのに名前が載っている人は連絡するように呼びかけた。しかし、オープンレターの存在を知らなければ、そもそも自分の名前が入っていることを知りようがなく、連絡のしようもない。こういう場合にオプトアウトで対応するというのはあり得ないだろう。

発起人のうち誰が代表として責任を負うのかをわざとに曖昧にし、五十音順で記載している。問題があっても誰が窓口なのかわからなくなっている。

オープンレターの削除連絡用窓口は2022年1月19日19時に設置されましたが、複数人の氏名冒用が発覚しているのに「希望者のみ削除」という対応を執るというのは正気とは思えない。

このような問題が起こるのは①肩書と氏名を公開するという方式をとったことに起因し、②誰でも署名できるようにした、にもかかわらず③連絡先メールアドレスすら任意にしたことが原因です。

さらに理解に苦しむ対応が

「詐称であったことが確認された方については、ご本人が希望される場合には、今後別途そのお名前を掲載し、この間の氏名掲載がご本人のご意志ではなかったことが明確になるように」

という今後の方針。

これでは「希望した人」と「希望しない人」が出た場合に、第三者から見た外観として、希望してない人は「冒用ではなく途中離脱だったのか」ということになる。これがオプトアウト方式の問題で、署名賛同人欄の掲載継続をすることの悪影響です。

どこまでも続く被害者意識と署名の杜撰な対応の棚上げ

残念ながら女性差別に抗するための取り組みやイベントにおいては妨害や悪戯が多く見られますが、今回その当事者として、差出人が本レターそのものへの悪戯の可能性を事前に十分考慮しきれなかったことに力不足を感じています。他人の名前を勝手に騙るという不正行為に厳重に抗議するとともに、この事例が女性差別に抗する取組みにとって、萎縮効果をもたらすものとならないことを切に願います。

「事前に十分考慮し切れなかった」のはその通りで、それ以上に削除対応が遅れていることや、後述するが今後の扱いについて不透明なことも批判されていますが、そこを棚上げしています。

どうしてここまで被害者意識優先で、署名を集めた主体としての責任から逃げることができるのでしょうか?

批判を誹謗中傷、一部界隈の仕草を「文化」とする「言葉のインフレ化」

またあらためて、本レター差出人や賛同者、とりわけ本レターを出すきっかけとなった事件の被害者である北村紗衣さんへの誹謗中傷が激化していることについては、強く抗議の意志を表明いたします。そうした誹謗中傷を生み出しているものこそ、本レターが距離を取ることを呼びかけた「文化」に他なりません。

批判を誹謗中傷と言い換え、一部界隈の仕草に過ぎないものを「文化」という大仰な言葉に言い換える。これは「言葉のインフレ化」であり、言葉への冒涜なのですが、そのことで「オープンレター」が呉座氏排斥を狙ったものであるということがより鮮明になります。

「業界における女性差別的な文化」は可視化されてないのに強弁

おかげさまで本レターには差出人の予想以上に多くの方からのご賛同をいただくことができ、研究・教育・言論・メディア業界における女性差別的な文化の可視化に大きく貢献することができたと考えております。

「可視化」ってどこを見たらわかるのでしょうか?

というか、オープンレターの本文で「研究・教育・言論・メディア業界における女性差別的な文化」に触れたもの、無いですよね。

あるのは「呉座氏の周辺」という特定の狭い人間関係における仕草(これを「文化」と呼んでいるだけ)であって、「背景の仕組み」としての文化にはほとんど触れていない。

「女性差別的な文化」としてはたとえば「LGBTの権利を優先して女性の権利が蔑ろにされている」というものがありますが…

⭕️ 伝統的なフェミニズムで用いられる本来の「ジェンダー」は、「社会的性役割」を意味しています。
 しかし「ジェンダー平等」と言った時の「ジェンダー」は、「心の属性/心の性別」を示しています。「ジェンダー平等」のスローガンの元では「性別」とは「心の属性」なのであって、身体の雌雄の別ではありません。

 つまり、「ジェンダー平等」は多くの方々が想像する通りの「男女平等」ではないのです。

 そのようなわけで、Avaazの想定する「国際法および国際規制」に 国連人権委員会の唱える「ジェンダー平等政策」が含まれているならば、確かに当会のキャンペーンは「違反」と判断されても仕方のないことでしょう。
 ジェンダー平等とは、あらゆるジェンダー(心の属性)を尊重しようという思想ですから、当会が求めた「女性専用スペースの確保および存続」は、生物学的女性に当て嵌まらない者を排除する「差別的な考え」とAvaazに判断された可能性を孕んでいるのです。たとえ他の属性の名を積極的に非難していなくても。

AvaazやChange.orgのような署名サイトにおいて、「女性専用スペースの確保」を掲げた署名が適切に執り行われていたのに、後になって理由も明示せずに削除されたことが報告されています。

生物学的女性・身体的女性を守ろうとする運動が、弾圧を受けているという実態。

「オープンレター」はこうした実態は可視化せず、最初から意識の外に置いている。

呉座氏処分「私は思ってない」瑕疵の治癒が不可能な言い訳

一部では、本レターが特定個人の処分を求めるものであるという曲解にもとづいた差出人・賛同者への非難も生じていますが、レターの趣旨が個人攻撃にはなく、「文化」の批判にあることは本文から明確であると差出人は考えており、あらためてその意思をここに表明しておきます。

「呉座氏への処分を求めるものではない」これを「オープンレター」掲載から9か月経過して初めて言いましたが、単に「私はそう思っていない」と言っているだけであり、文章の瑕疵の治癒は不可能です。

なぜ「オープンレター」が呉座氏排斥の要請文なのかは何度も説明済み。

オープンレター「女性差別的な文化を脱するために」の問題点|Nathan(ねーさん)|note

「オープンレター」は呉座氏排除の要請文書と解すべき理由|Nathan(ねーさん)|note

問題解決せず事前説明無く「紙媒体で記録化検討」と「正史」の作出

他方でこの間、レターにある特定個人の氏名がウェブ上に残り続けることについての懸念も寄せられました。この点については差出人のあいだでも議論を重ねてきましたが、本レターが女性差別的な文化の可視化と議論の喚起に一定の役割を果たすことができたことに鑑み、公開から1年となる2022年4月4日をもって、ウェブ上での公開を終了するという結論に至りました。その後は、紙媒体に何らかの形で記録を残すことを現在検討しています。

ご賛同くださった方々にはあらためて感謝申し上げます。

「レターに特定個人の氏名が残り続けることの懸念」が何かは全く不明だが、特定個人とは呉座勇一氏のことであり、残り続けることの懸念とは違法の指摘だろう。例えば行政法研究者兼弁護士の平裕介助教授が「オープンレターの掲載継続による違法化」を指摘している(私はその説は採らないが)。ところが、内容自体が違法の指摘を受けているのに、そこは「曲解」と断じるだけで無視している。

むしろ「本レター」が可視化したのは、オープンレター界隈がキャンセルカルチャーを推進乃至は容認していることと、そのような者による社会運動が非常に杜撰なものであり、問題の指摘を受けても不誠実な対応に終始しているということでしょう。

そして、特に今後も禍根を残すであろう記述が「紙媒体化を検討」です。

最初に指摘した氏名冒用の事実があったにもかかわらずオプトアウト方式を継続したこととも密接に関係するが、まさか署名者欄も紙媒体化するのだろうか?

「紙媒体化の範囲」について、本文と差出人だけなのか賛同人署名欄も含めるのかは明示されていないが、これではそのようにしか思えない。なぜなら、そもそも「オープンレター」は署名者欄の肩書が重要な要素となっているし、冒用が発生しているのに4月4日までの掲載を継続する合理的な理由が書かれていない上(「掲載開始から1年」はまったく理由にならない)、その中でも「詐称があったと本人が申し出てその旨の記載を希望した場合にはそのように記載する」という対応があるということは、「その後の掲載」を念頭に置いているとしか考えられないからです。

この狙いは「正史の作出」でしょう。

基本的に、研究者らが書いた文章で引用されるのはWEB媒体のものは無く、紙媒体化したものです。この点、例えば国立国会図書館の報告書などはだいぶ緩和されて積極的にWEB媒体のURLが掲載されるが、それでも大手メディアの報道記事や政府系組織や法人格のある団体に紐づいているHPが主です(例外あり)。

北村紗衣氏が熱心なWikipediaの文献掲載においても「情報源の権威性」が求められており、単に拡散されたというだけのWEB媒体は基本的には引用されません。

おそらく、どこかの出版社から「オープンレター」本文と、差出人らの本件に関する論稿や対談などを載せた書籍として世に出すことで、どの機関でも参照可能にし、「オープンレター」に書かれている内容の前提(「呉座が歴史修正主義に同調した」などの名誉毀損の内容)を暗黙の了解として拡散する狙いがあるのでしょう。

「正史の作出」の一例として、松浦大悟氏の番組での発言が学術会議の資料中に出典無く文脈を無視して「差別的発言」と記載されたことが挙げられます。

仮にそうだとすれば、それを【この状況で】考えているということに驚愕します。

賛同人は署名時にこのことは知らされていないわけですから、賛同人の情報は載せないのが当然ですが、そのことの明示が無い時点で余りにも配慮に欠けている。

実は小木田順子(編集者)が消えているお知らせ:説明無き離脱

さらに、「お知らせ」における差出人欄でも異変が…

2022年1月31日

隠岐さや香        名古屋大学大学院教授

金田淳子            やおい・ボーイズラブ研究家

北村紗衣            武蔵大学准教授

木本早耶            出版社勤務

河野真太郎        専修大学教授

小林えみ            よはく舎

小宮友根            東北学院大学准教授

清水晶子            東京大学大学院教授

関戸詳子            勁草書房

津田大介            ジャーナリスト/メディア・アクティビスト

橋本晶子            勁草書房

松尾亜紀子        エトセトラブックス

三木那由他        大阪大学講師

宮川真紀            タバブックス

八谷舞            亜細亜大学講師

山口智美            モンタナ州立大学准教授

(あいうえお順)

実は「オープンレター」差出人欄には存在する小木田順子(編集者)が消えています。

これは記載漏れという単なるミスなんでしょうか?

紙媒体化の際に自分の情報が掲載されることを避けるためでしょうか?こうでもしないと掲載されるのではないか?と思ってしまいます。

ちなみに、締切時に差出人に名を連ねていた礪波亜希 氏は11月3日に離脱して記述が削除されています。その他十数人の人が現在までに署名簿から離脱しています。特に1月の騒動が始まってからの離脱者が大半です。

その際も今回も、オープンレター側からは何ら説明がありませんでした。

この点、なぜ離脱したのか、その問題意識はどこにあったのかについては礪波亜希 氏がブログで経緯を残しています。

まとめ:最後まで不誠実であり問題の火種が残った公開終了告知文

公開終了告知文の問題まとめ

  1. 名誉毀損の違法の指摘等を無視すると宣言したも同然
  2. 署名偽造の対応がなおも杜撰、そのようになった説明も無い
  3. その状態でオプトアウト方式による削除と掲載継続
  4. このような状況下でのその後の紙媒体化の検討

問題の火種が残ると同時に新たに発生したということが「可視化」されています。

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