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Discussion Paper Discussion Paper 156 (2022.12)

[No.156] 平均的な外出のコロナ感染リスクは限定的

―私権制限やめ平時の体制へ移行を

高久 玲音 一橋大学准教授
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田原 健吾
&nbsp 研究本部長補佐兼データサイエンス研究室長兼主任研究員
北爪 匡 日本経済新聞社 編集 データジャーナリスト
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田淵貴大 大阪国際がんセンター
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大竹文雄 大阪大学特任教授、日本経済研究センター研究顧問
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2022/12/29

 新型コロナウイルスのオミクロン株の感染が急拡大した第7波ピーク直後の2022年9~10月に調査した3万人の大規模データを用いて、飲食やイベント参加など個別の行動と感染リスクの関係について検証した。その結果、多くの行動については、他の外出等の活動度合いをコントロールして推定すると、感染への統計的に有意な影響は検出されなかったが、活動度合いをコントロールせずに推定すると、「同居者以外の者との飲食を伴う会合」などの個別行動について、感染リスクを一定程度高めることが改めて確認された。しかし、感染リスクが急激に高まるのは一般的な頻度と比較して相当程度多くの回数を行った場合であり、それ以外の場合では、リスク行動を全く取らない人と比較して1.1~1.7倍程度の上昇にとどまった。「旅行」や「外出・出張」の自粛については感染リスクへの有意な影響は見られなかった。
 現在のオミクロン株は重症化・致死率が従来株より低いことが分かってきた中で、政府対策本部による私権の制限を含む有事の体制を続けるべきか、また制限するとしても費用対効果をもとにどのような行為を制限することに正当性があるか、客観的な情報の早期収集に努め提示することが求められる。

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