イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

『ANTENNA』が遂にアルバムチャートを制したMrs. GREEN APPLE、今後の注目点は

年末年始を集計期間とする2024年1月8日公開分ビルボードジャパンソングチャート(集計期間:2024年12月30日~2025年1月5日)ではMrs. GREEN APPLE「ライラック」が首位返り咲きを果たし、また彼らの作品の大半が上昇しています。特に『第75回NHK紅白歌合戦』(NHK総合ほか 以下”紅白”と表記)の影響が大きく表れた最新チャートについては、昨日付エントリーにて紹介しています。

そのMrs. GREEN APPLEが、集計期間を同一とする1月9日公開分ビルボードジャパンアルバムチャートでワンツーフィニッシュを達成しました。

 

2023年夏にリリースされたMrs. GREEN APPLE『ANTENNA』は、登場79週目にして初めてビルボードジャパンアルバムチャートを制しています。

Mrs. GREEN APPLEは『Attitude』もアルバムチャート2位に。またVaundyさんによる2作品が3位および4位に上昇し、米津玄師『LOST CORNER』もトップ10内に返り咲いていますが、いずれの作品もストリーミングが強いことが特長です(上記CHART insightにてストリーミング指標は青で表示)。この指標は、2024年12月26日公開分にて初めてこのチャートに導入されています。

ストリーミング指標を組み入れたことで長く聴かれている作品が上位に登場しやすくなっていますが、それに加えて紅白等の大きなイベントや季節の風物詩に伴う効果も以前より大きくなったといえます。

(ちなみに、マライア・キャリーによる1994年作『Merry Christmas』が2024年12月26日公開分のビルボードジャパンアルバムチャートで23位にランクインしています(翌週は19位に上昇)。2015年6月にアルバムチャートが登場して以降、この作品の100位以内エントリーは初となります。)

ビルボードジャパンアルバムチャートはストリーミング指標導入というチャートポリシー(集計方法)変更に伴い、いわば”社会的ヒットの鑑”に成ったと言っても過言ではないかもしれません。

 

一方で、ビルボードジャパンが2023年に開始したGlobal Japan Songs Excl. Japanでは、1月9日公開分(集計期間:2024年12月27日~2025年1月2日)においてMrs. GREEN APPLEの作品が20位以内にランクインしていません。

さらに今週は、Vaundy「踊り子」、tuki.「晩餐歌」、藤井 風「満ちてゆく」など、『第75回NHK紅白歌合戦』で披露された楽曲がストリーミング数を伸ばした。それぞれのパフォーマンス映像が、NHKの公式YouTubeチャンネルにて公開されていたことが要因と考えられる。なかでもtuki.「晩餐歌」は、ビデオのストリーミング数が前週比131%を記録した。

Global Japan Songs Excl. Japanは米ビルボードによるグローバルチャートのうちGlobal 200を基に、日本市場分を除いた上で日本の楽曲を抽出したチャートですが、Mrs. GREEN APPLEは「ライラック」をはじめとしてこのチャートではこれまで一度も20位以内にランクインしていません。他方、1月9日公開分Global Japan Songs Excl. Japanと集計期間を同一とする1月11日付Global 200では「ライラック」が上位に登場しています。

日本での人気の大きさがGlobal 200での「ライラック」再登場に大きく反映されたと考えれば、Mrs. GREEN APPLEの日本での人気と海外でのそれとでは、たとえばCreepy Nuts等に比べて乖離が大きいと捉えていいでしょう。そのMrs. GREEN APPLEは今年韓国公演を行い、またこのような変更が既に行われています。

Mrs. GREEN APPLEの作品がGlobal 200、そしてGlobal Japan Songs Excl. Japanでどこまで存在感を高められるかに注目しましょう。