低糖質・高タンパクな「豆腐干」で作るやみつきエスニック風焼きそばのレシピ。豆腐干の基本の使い方も解説!

低糖質・高タンパクな食材として注目を集めている「豆腐干」。野菜と豆腐の料理家・江戸野陽子さんに、豆腐干を使ったエスニック風焼きそばのレシピを教えてもらいました。基本の使い方や、調理ポイントも必見です!

こんにちは。野菜と豆腐の料理家・江戸野陽子です。

突然ですが、こちらの麺は何でできているか分かりますか?

薄いクリーム色で、表面には独特なデコボコ模様。うどんより細くてラーメンより太い。どう見ても麺ですが、実はこれ、豆腐でできているんです!

これは「豆腐干(とうふかん)」という中国発祥の食材で、現地ではおなじみの大豆加工食品です。脱水してから圧縮したものを麺状にしているので、「豆腐」といいつつ、しっかりとした歯応えが味わえる食材です。中華圏では「干絲(ガンスー)」と呼ばれており、和え物・冷菜・炒め物・火鍋の具などにして食べられることも。

豆腐干は高タンパクで低カロリー、そして低糖質なのが特徴です。淡泊な味わいながら食べ応えがあり、パスタ・焼きそば・うどん・混ぜそばなどにもアレンジできるので、低糖質フードとして近年注目を集めています。

そこで気になるのが、豆腐干の使い方やアレンジ法。

今回は、豆腐干の基本の調理法と、おいしく仕上げるために必須のポイントを丁寧に解説します。味なじみが悪い、水っぽいなどの状態を防ぐ方法もお伝えします。

そして、豆腐干を使った「エスニック風焼きそば」のレシピもご紹介。ナンプラーやオイスターソース、パクチーが香るうま味たっぷりの食欲そそる一品です。

それでは、いってみましょう!

豆腐干の使い方

写真左:冷凍 写真右:生

豆腐干は、業務用スーパーや一般のスーパーの豆腐売り場や冷凍食品売り場で売られていることが多いようです。

冷凍もしくは冷蔵の状態で売られていることが多いですが、いずれの場合もたっぷりのお湯でゆでてから調理するのが鉄則です。

冷凍の豆腐干は、解凍してからゆでて調理しましょう。

冷凍の豆腐干の解凍方法

冷凍の豆腐干はこのように、1人前ずつパック包装になっていることが多いです。

冷凍したままゆでると、豆腐干の風味と食感が損なわれてしまいます。おいしさを引き出すためには、必ず解凍してからゆでるようにしましょう。

メーカーによって解凍方法が違うので表記を確認して解凍してください。表記がない場合は、冷蔵庫で半日かけて自然解凍するのがよいでしょう。

豆腐干をゆでる

たっぷりの熱湯で、パッケージの表記時間通りにゆでます。この時、泡が発生して吹きこぼれやすくなるので火加減に注意してください。

なお、商品によっては調理水が添付されていることもあります。調理水を使用する場合は、あらかじめ調理水を熱湯に入れてから豆腐干をゆでましょう。調理水の代わりに、塩(お湯の量に対して1%)を加えると、やわらかくゆで上がります。

豆腐干を洗って絞る

豆腐干がゆで上がったらザルに上げ、流水でもみ洗いします。流水で洗うことでぬめりを取り、余熱でやわらかくなるのを防ぎます。ぬめりは他の食材と味なじみが悪くなる原因にもなるので、よく洗うようにしましょう。

ぬめりが取れたら水気を切ります。ポイントは水気が切れた後に豆腐干をしっかり絞ること。水分が残っていると、後で使用する調味料の味が薄まり、水っぽい仕上がりになる原因に。絞る時に力を入れすぎると、豆腐干がちぎれてしまうため、ザルに押し付けるようにして絞るとよいですよ。

豆腐干上級者は、レシピに合わせてゆで時間を調整

表記時間通りにゆでた豆腐干は、弾力があって和え物や火鍋には合うのですが、麺料理に使うには噛み応えがありすぎる……と感じる方もいるかもしれません。

その場合は、表記時間より長めにゆでてやわらかくなるよう調整することをおすすめします。もちろん、かためが好きな人はそのままでもOK。

ここでは「ゆで時間5分」の豆腐干を「3分」「5分」「9分」でゆでて違いを比較しています。ゆで時間の参考にしてみてください。

  • 3分:麺の形状はそのままに、豆腐干にアルデンテという状態があるならばこれではないかというゆで上がり。ゴムのように強いコシがあり、冷麺よりかため。豆腐の風味が強く残っています。煮物・炒め物にしてもコシが残っています。かため食感がお好きな方向け。
  • 5分:麺の表面のデコボコ感が薄れ、食感はむちむち。太めの糸こんにゃくのようです。豆腐の風味は程よく残っています。和え物だと程よいコシがあり、温かい麺料理にすると、ちょうどいいやわらかさに。焼きそば・パスタなどの麺料理にピッタリ。
  • 9分:ふにゃっとしたゆで上がりで、麺の角が取れています。煮込みうどんと同じくらいのやわらかさで、ほのかな豆腐の風味も味わえます。やわらかい麺料理が好きな人におすすめです。

エスニック風焼きそばを作ってみよう!

では早速、5分ゆでた豆腐干で、エスニック風焼きそばを作りたいと思います。

豆腐干のエスニック風焼きそば材料(2人分)

  • 豆腐干……2袋
  • 豚こま肉……100g
  • えび……4å°¾
  • もやし……1袋(150g)
  • にんじん……50g
  • にら……5本
  • 鷹の爪……2本
  • ごま油……大さじ2
  • パクチー……1本
  • レモン……1個

<豚こま肉の下味用調味料>

  • しょうゆ……大さじ1
  • 片栗粉……大さじ1

<仕上げ調味料>

  • オイスターソース……大さじ3
  • ナンプラー……大さじ2
  • 塩……小さじ½
  • 砂糖……小さじ1
  • ブラックペッパー……少々

※冷凍の豆腐干は解凍しておきます

豆腐干のエスニック風焼きそばの作り方

1.豆腐干をゆでる

鍋にたっぷりのお湯(分量外)を沸かし、豆腐干を約5分ゆでます。沸騰と同時に吹きこぼれやすいので、火加減を見ながらゆでましょう。

※このレシピでは、ゆで時間が5分の豆腐干を使用しています。

※やわらかめにしたい場合は、塩(お湯の量に対して1%)(分量外)を加えてゆでましょう(「豆腐干の使い方」参照)。

ゆで上がった豆腐干をザルにあけ、流水でもみ洗いをします。ぬめりが取れたらしっかりと水気を切り、ザルに押し付けるようにしてさらに水気を絞ります。

2.材料の下準備

ボウルに豚こま肉と<豚こま肉の下味用調味料>を入れ、全体をなじませます。

にんじんは細切り、にらはざく切り、鷹の爪は種を取り除いて小口切り、レモンは半切りに。パクチーは、やわらかい葉の部分をちぎり、茎は細かく刻みます。えびは殻をむいて背ワタを取り除きます。また、この段階で<仕上げ調味料>を合わせておきましょう。

3.豚こま肉とえびを炒める

フライパンにごま油大さじ1を熱し、中火にして豚こま肉とえびに火を通します。焦げやすいので火が通ったら一度皿に取り出しておきます。

4.野菜と豆腐干を炒める

同じフライパンにごま油大さじ1を熱し、強火でにんじんともやしを約1分炒めます。

にんじんともやしがしんなりしてきたら、豆腐干を加えて炒めます。ゆでた後に水で洗った豆腐干は冷たくなっているので、熱が通るまで強火で3〜5分ほど炒めます。

全体に火が通ったら、にらと鷹の爪を加えます。さらに、合わせておいた仕上げ調味料を回しかけ、全体に味が行き渡るよう強火で炒めます。

取り出しておいた豚こま肉を加えて全体を混ぜたら、火を止め、皿に盛り付けます。仕上げに、えび、レモン、パクチーを飾り付けたら完成!

パクチーはお好みの量をのせ、レモンを好きなだけ絞ったら、箸でざっくりと混ぜて……アツアツをいただきます!

豆腐干はしっかりとコシがあり、むちっとした噛み応えがたまりません。表面に凹凸のある豆腐干に、濃いめのソースがよく絡んでおいしい! 豆腐干はゆでた後に炒めることで、程よいやわらかさが加わり、麺といっても違和感がないくらいの仕上がりです。もっとコシが欲しい方は、ゆで時間を3分にするなど、お好みで調整してください。

そして、この豆腐干を色とりどりの具材と一緒にほおばると、口いっぱいに広がるエスニックな味わい。ナンプラーとオイスターソースのクセになるこってり風味、そしてピリ辛な鷹の爪がなんとも食欲をそそります。ごま油で炒めた豚こま肉とえびはうま味たっぷりで香ばしく、食え応え抜群。パクチー、にんじん、にら、もやしは、もっちりした豆腐干と対照的なシャキシャキとした食感で、どんどん食べ進めたくなります!

一般的な小麦粉の麺と比べて、低糖質&高タンパクなので、たくさん食べても罪悪感なく、ヘルシーなのがうれしいですね。豆腐とは思えないほど満足感の高い一品です。

豆腐干の調理ポイントまとめ

豆腐干をおいしく調理するためには、ゆで時間や水を切る工程が本当に大事です。「ぼそぼそしている」「かたい」「味がなじまない」といった状態を避けるために、改めて以下のポイントをおさらいしておきましょう。

  • 好みのやわらかさになるようにゆでる
    ゆでている最中に味見をしてゆで加減をチェック。和え物ならやわらかめ、炒め物・煮物ならかためがおすすめです。
  • 流水でぬめりをしっかりと洗い流す
    ぬめりがあると、他の具材や調味料と味がなじみにくくなります。
  • 水気を絞る
    豆腐干は水切りが不十分だと、水っぽい仕上がりに。ちぎれないくらいの力加減でしっかりと水気を絞ること!

この3点を押さえておけば、豆腐干の調理をマスターしたも同然です。今回ご紹介したエスニック風焼きそばレシピのように麺の代替として使う以外にも、そのまま和えたり、炒め物や煮物にしたりと活用法はいろいろ。 ヘルシーで独特の魅力を持った豆腐干、ぜひチャレンジしてみてください!

書いた人:江戸野陽子

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野菜と豆腐の料理家。豆腐・油揚げ・おから・豆乳などの使い方や選び方を伝えるべく日々活動中。レシピやコラム執筆のほか、料理教室も開催。倉敷在住の2児の母で、大学在学時に野菜ソムリエ、母になってから豆腐マイスターの資格を取得。著書「すごい豆腐の最高においしい食べ方」(笠倉出版社)

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