深川市と留萌市を結ぶJR留萌線の一部(石狩沼田―留萌、35・7キロ)が3月末で廃止されます。西側の終着駅・留萌駅には、100年以上営業を続けてきた立ち食いそばの店があります。ニシンそばが名物で、長年、旅人や市民を温かく迎え入れてきました。鉄路廃止を控えた今、懐かしい雰囲気を感じさせる店内には、別れを惜しむ多くの市民や観光客が訪れています。長く愛されてきた味はどうなるのでしょう。(留萌支局 吉川幸佑)
留萌駅の正面入り口から入って右手にある待合室。その一角に、紺色ののれんがかかった店があります。辺りにはそばつゆのいい香りが漂っていて、食欲をそそられます。カウンターは6人も立てばいっぱい。奥には広さ4平方メートルほどの小さな厨房(ちゅうぼう)が見えます。「こぢんまり」という言葉がぴったりの店構えが、昭和の雰囲気を感じさせます。
メニューは「かけ」「月見」「天ぷら」などで価格は370円から。食材などの値上げが相次ぐ中、懐に優しい値段です。
2月中旬の昼ごろ、店を訪ねると、平日にもかかわらず、店は鉄道ファンや地元の会社員とみられる人たちで混み合っていました。店に隣接して置かれた6人用のテーブルも満席です。
■1分以内にできあがり
調理や接客は、厨房に立つ女性が1人でこなします。慣れた手つきでゆで麺を湯切りし、つゆを注いでネギなどを散らします。注文から1分かからないうちにできあがります。
生卵のトッピングや、梅とカツオのおにぎりを注文する人もいますが、多くの客が、湯気が上がるそばを素早く食べ終え、店を後にします。その代わり、次々と新たな客がのれんをくぐり、注文する声が上がっていました。...
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