役目は果たした。Google、VRヘッドセット「Daydream」を終了へ

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  • author Sam Rutherford - Gizmodo US
  • [原文]
  • 湯木進悟
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役目は果たした。Google、VRヘッドセット「Daydream」を終了へ
Photo: Gizmodo

当初のアイデアはよかったのだけど…。

VR体験、もう読者の皆さんは堪能してますか? VRヘッドセットを装着すると、新たに目の前に広がる世界。そして、そこで実現する新次元のゲームエクスペリエンス。

Google(グーグル)の「Daydream」VRヘッドセットシリーズは、高価なVRゴーグルを必要とせず、スマートフォンをセットするだけで手軽にVR体験ができました。これぞVRの普及を率いる大ヒット商品に?

そんな期待を担っていた時代もあったでしょう。しかしながら、このほど「Pixel 4」や「Pixelbook Go」などが華々しく発表されたいっぽうで、Pixel 4のDaydream VRへの対応が見送られてしまいました。あれっ、これはもう、GoogleがDaydream VRプラットフォームを見限ったってこと? 慌ててVentureBeatが確認を取ったところ、やはりGoogleは、Daydream VRから手を引くことが明らかになったそうですよ! まだ現時点では在庫品をストアで買うことはできますが。

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Photo: Gizmodo

思えば、GoogleのVRへの本気度は、2014年に大盤振る舞いで配られた、段ボール製の「Google Cardboard」からスタートしていました。 Google I/Oで、まずは参加者全員にお土産品として無料配布され、段ボールでできているので、たいしたお金もかからないことから、とにかくいろんな雑誌や新聞におまけとしてつけては、VRの普及を一気に狙ってきました。

これにスマホをセットするだけで、だれでも楽しめるVR体験。たしかに狙いは悪くはなかったんでしょうけど、でも現実はちょっとだけ使ったら、あとは部屋の片隅に忘れ去られるか、ゴミ箱へポイ。

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Photo: Gizmodo

Googleは、Daydream VRを独占していたわけではありません。たとえば、こちらの写真のLenovo(レノボ)が発売した「Mirage Solo」のように、プラットフォームを開放し、サードパーティから対応製品も売り出せるようにしました。

あるいは、Samsung(サムスン)は、Galaxyスマートフォン向けに「Gear VR」のヘッドセットをリリースし、いざVRがスマホとコンビで盛り上がっていくのか? そんな期待も高まってはいたのですが、いつしかSamsungも、最新の「Galaxy Note 10」では、Gear VRへのサポートを、これまたひっそりと打ち切ったりもしていましたよね。

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Photo: Gizmodo

いろんなスマートフォンをセットするタイプのVRヘッドセットが出そろったなかで、いまでもDaydreamのVRヘッドセットは、そのソフトなファブリックでコーティングされたデザインが、ベストモデルだったかなって感じています。少なくとも、ほかのプラスチックボディのVRヘッドセットよりはね。

ただ、こうしてスマートフォンをセットし、面倒な設定をした後、そこから惜しげもなく電源供給させてはVRを楽しませようとするコンセプトに、そもそも無理があったのかもしれません。だって、終わって取り外したスマホのバッテリーは、信じられないくらい減ってしまってるし、どう考えても、おもちゃのVRエクスペリエンスに過ぎませんから。

やはり、専用の「Oculus Quest」などで実現する、高解像度でサクサクと楽しめるパフォーマンスには、所詮はスマホをセットするおまけVRヘッドセットでとても敵うものではありません。昔は有線接続が必須だった専用のVRゴーグルも、いまはワイヤレスが主流となり、しかもそれほど高価ではなくなってきました。だったら、わざわざスマホを必要とする安物チープなVR体験なんて、もう不要なのでは? そんな時代の流れで、Daydream VRも、ひっそり姿を消していくのかもしれませんよね。VRはおまけではなく、お金を出して本物で広がる世界へと~。ここからまた新たなる成長が始まっていくのかもしれませんよ!

Source: VentureBeat