もしやiPhoneフィーバーも見納めだったりするのかも...
いやいや、このところ世の中はアップルが仕かけるリリースラッシュに振り回され気味のようでして、ギズモード編集部もiPadの発売祭りは大いに盛り上がっちゃいましたが、そんなアップルの快進撃を横目に、実は着実にグーグルが差を縮めてきてますよ。すでにアップルの背中がグングンと近づいてきて、もう一息で抜き去ってしまうことになりそうです!
えっ、グーグルのどこがそんなにスゴいの? 別にAndroidケータイの発売では行列ができるわけでもないしねぇって首を傾げてるあなた、まずはもうアップルがグーグルに負けちゃってるとの評価も出始めた3つのエリアに続きから注目してみましょう。慌ててiPhone 4に走る前に、ちょっと考え直したほうがよかったりもしてね~ん。
ついに時価総額では巨人のマイクロソフトをも上回ったとのニュースが流れ、このところ飛ぶ鳥も落とす勢いで急成長を続けているアップルですが、その最大の成功要因として米GIZMODO編集チームが指摘しているのは、あくまでも先攻逃げ切り型のビジネスモデルが当たってきたに過ぎないという点ですね。
たとえば、いまだに品切れ状態も続いているとされるiPadですけど、まだタブレット業界のスタンダードが定まる前に、いち早くアップルが発売へとこぎつけられたことが大きな話題を呼び込む結果となりましたが、これは間もなくグーグルがChrome OSなどを搭載したタブレットをリリースするタイミングを抑え、機先を制することができた意味合いが強いかもしれません。
同じように、一般ユーザーも楽しめるスマートフォンのスタンダードを、いち早くiPhoneをリリースしてアップルが定めることに成功してきましたし、iTunesやApp Storeに関しましても、とにかく他社よりも先に幅広くリリースして普及を図り、多くのユーザーからの支持を獲得できてきたことの意義は決して過小評価されるべきではないでしょうね。
ただ、どんなに先行リリースのメリットがあるとしても、やっぱりいつかは追いつかれてしまうことだってあるものです。現にAndroidの追い上げスピードには目をみはるものがあり、そのことにだれよりも早く気づいて妨害を仕かけているのは、当のアップルだったりするのかもしれません。
アップルはグーグルのどこに脅威を感じているのでしょうか? では、その3大ポイントを順を追って見ていくことにいたしましょう。
1. すべてをケーブルレスでリアルタイム同期するコンセプトグーグルからの最新リリースとなるAndroid 2.2(コードネーム:Froyo)は、もう数々の魅力であふれていると大評判ですけど、とりわけアップルが提供できないでいる魅力に、究極のワイヤレス同期対応が挙げられますよ。
実はこれまでのAndroidの最大のネックの中には、PCとの同期を取りづらい点が指摘されており、Androidにも、いわゆるiTunesのようなスタイルのソフトウェアインターフェースが用意されて、もっとアプリケーションやマルチメディア管理を進めやすくなるといいんだけどねってリクエストが出されてきました。ここが解消されない限りは、まだまだiPhone陣営に太刀打ちできないだろうね...だなんて厳しい評価もあったんですよね。
ところが、この弱点を単に解消するばかりか、一気にiTunesを介するケーブル接続の同期スタイルを時代遅れにしかねない機能向上を成し遂げてしまったのが、Android 2.2だったわけですね。だって、もうPC上にAndroid Marketplaceからアプリをダウンロードしてきた瞬間、いちいちケーブルでつないで同期なんて取らなくっても、ワイヤレスにAndroidケータイでそのアプリが使えるようになります。iTunes上の音楽ファイルも、ワイヤレスにストリーミング再生対応ですよ。
さらに、クラウド対応も大幅に強化されたため、PCのデスクトップ画面で見ているのと同じ内容を、ほぼ自動的にAndroidケータイで表示させることなんかも楽々できちゃうんですよね。もはやそれほどPC環境とモバイル環境との違いを感じさせない、完全にワイヤレスで完結するリアルタイム同期システムの提唱...。これをグーグルが本当に広く浸透させてきたら、常にiTunesを必要とするため、どうしてもタイムラグができてしまうアップルの手法は、急に古くさいものに感じられちゃいますね。
2. Google TVの脅威これまでアップルは先手必勝のビジネスモデルを手がけてきたとは言うものの、いまひとつパッとした手応えをつかめずにいるのが、2007年に世に送り出されたApple TVかもしれませんね。そこにグーグルが殴り込みをかけてきたGoogle TVが、今年後半からの台風の目となりそうな予感です。
そもそもこれまでもテレビ機能付きのパソコンですとか、テレビにセットトップボックス(STB)をつないで機能拡張を図るアプローチですとかは、もう数々のメーカーが試してきましたが、このGoogle TVのスゴいところは、最初から完全にインターネットの世界が組み込まれたテレビを作り出してしまう点にありそうです。まさにグーグルが理想に描く世界とつながった状態のテレビを、ドシドシと各社から売り出してもらう構想ですよ。
実際にGoogle TVの豊富なラインナップがそろい、世界各地のお茶の間へと普及していくようになるまでには、まだ少し時間がかかりそうではありますけど、一度そのインターネットとテレビの融合がもたらす優れたエクスペリエンスが世間を驚かせ、これはぜひとも一家に1台は欲しいよねって反響を引き出せれば、ニッチなスマートフォンやタブレットのユーザー層ではなく、どこの家にでもあるテレビのことですから、爆発的なスピードで売れていく可能性だって否定はできませんよ。そうなると、あのApple TVって何だったんだろうねって悲しい評価が確定することになってしまいそうです...
3. 広告ビジネスで格段の差アップルが自信を持って売り込めば売り込むほど、なんとなく白けてきちゃうのが、インタラクティブな新モバイル広告プラットフォームの「iAd」ではないでしょうか。ユーザーには決して邪魔にならない仕方でメリットとなる情報提供の場とするなんて言われても、こうやって実際にはこれまでなかったスペースをiAdに奪われることに変わりはありませんからね。おまけにアップルにとって不幸だったのは、どうやら当の広告提供者となるディベロッパーの大方の反応も、まだ最初は様子見を決め込む感じでして、アップルにガッポガポとiAdからお金が舞い込むような事態には当面は至らなさそうです。
一方、逆にしたたかだったのはグーグルのほうでして、やってることはiAdと似ているんですが、さりげなく「AdSense for Mobile Ads」をAndroid向けに提供して、すでに世界中の数十万を数える広告提供者の支持を取りつけられそうな点ですよ。これから不慣れな広告ビジネスに乗り出そうってアップルとは大違いで、もうオンライン広告業界で不動の座を築いているグーグルが、新たにモバイルアプリへと広告提供フィールドを広げてくるという展開スタイルは、その信頼関係と実績ゆえに、確実に成功させられるのでは...というのが一般的な評価のようです。Google TVでも、ちゃっかりと広告事業を展開してくるでしょうから、グーグルのビジネスモデルは手堅いんじゃないでしょうか。道理でアップルがiAdからグーグルを締め出そうと嫉妬しちゃってるわけですよね...
いかがでしたか? アップルラブな新し物好きのハートを巧みにとらえ、スタートダッシュをかけて突っ走ってきたアップルを、もうかなりのスピードで追いついて射程距離圏内に収めつつ、これから抜き去っていこうというグーグルの構図が見えてきた感じでしょうかね。
ちなみに、このところグーグル社内では、なんとなくアップルの新製品リリースラッシュにも余裕の表情を浮かべて見守る雰囲気があるようでして、キリキリと対抗心むき出しというアップルのジョブズとは対照的です。この両社の対決は、ますます今後もヒートアップしていきそうですね!
John Herrman(原文/湯木進悟)