フラれた彼女への憎しみは募るばかり...
どうやら私情を丸出しで全面戦争へと突入していきそうな予感です。さまざまなニュースを総合するに、このところアップルとグーグルの間には亀裂が入り、当の両社経営陣に仲直りや歩み寄りの姿勢は一切見られないのですが、あらゆる両社の関係者へ匿名条件で実施した内部調査によりますと、もう戻れない怒りの爆発ポイントに到達しており、さらに今後は両社間の争いが一気にエスカレートしていく兆しばかりが見えていることが明るみになっちゃいましたよ。
この話、どうやらアップルのスティーブ・ジョブズCEOとグーグルのエリック・シュミットCEOを始めとする経営陣の間に存在していた、以前の固い友情の絆にまで戻して振り返ってみる必要がありますよね。彼らの中は、もう周囲もうらやむラブラブ状態だったってご存知でしたか? その愛情が憎しみに変わった決定的瞬間も目撃されていたんですね! さぁ、ではでは、これから生じるアップルVSグーグルの壮絶バトルへの予習も兼ねまして、どうぞ続きからしっかりとチェックしててくださいね。
ジョブズがSっ気たっぷりに、数々の難敵に挑戦を仕かけてきたのは周知の事実ですけど、どうやらエリックにも、同じような血が流れている感じですねぇ。
「二人の親しい間柄は、ちょっともうだれも間には入れないくらいの深いものだったと評しても過言ではありません。なんといっても、マイクロソフトという共通の敵に立ち向かう共同戦線を張り巡らすため、完全に意気投合してましたからね。ビル・ゲイツにだけは、絶対にオンラインサービスとモバイルワールドに進出させないって考え方において、ジョブズとエリックほどに共に固い決意で結び合わされた二人はいなかったんじゃないでしょうか。よく一緒に食事をし、電話でも長く語り合う様子が、しょっちゅう見受けられましたね。ちょっと今となっては懐かしい光景でしょうけど...」
そう二人の取り巻きも語るとおり、現在の両社のわだかまりからは想像もできないほど、まさに竹馬の友といった親友同士だったようですね。
「それにグーグルのトップには、すっかりジョブズに心酔している天才たちも多いんですよ。例えば、ラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンなんて、今のようなエグゼクティブになる前は、絶対に自分たちはジョブズのような指導者になろうって、よく本気で話し込んでましたからね。セルゲイとジョブズが肩を並べてパロ・アルトを仲良く一緒に散歩する姿だって、以前は結構あったんですよね。ウェブの未来を熱く語り合う二人の仲は、これまた周囲もうらやむ限りでしたからねぇ。遠い過去の話のようで残念でなりませんけど...」
今回、極秘に両社の関係者へとインタビュー調査が敢行され、改めてアップルとグーグルの間に存在していた蜜月期間が鮮明になっていますが、そのすべての歯車が急速に狂い始めたターニングポイントが、Androidの出現にあることは間違いないようです。
「なんとなくギクシャクしてるような気がするなとは周囲も気づいてたんですけど、そのことが顕著になったのは、2年前のグーグル社内での会議の席でしたね。あの時、ついにジョブズが、何の遠慮もなく感情を爆発させて、『ならん、絶対にならん、マルチタッチケータイなんぞを作ってはならん』と怒りも露わに叫んだんですよ。あぁ、とうとう、ここまで関係が悪化してしまったんだなって、もうだれの目にも明らかでした。あんなに険悪な会議の雰囲気はなかったですよ」
その後の展開に関しましては、もうギズ読者の皆さまは百も承知でしょうけど、改めて振り返っておきますに、まずはApp Storeへの「Google Voice」の申請却下で、周囲の目にも確執がはっきりとわかるようになりましたよね。米国連邦通信委員会(FCC)が調査へ乗り出す事態となり、結局はアップルが一方的にグーグルを拒否した経緯などが判明していきます。
そして、ついにはHTCの提訴という形こそ取ってはいますが、Androidケータイを狙い撃ちにした大規模訴訟をアップルが引き起こし、最新の情報としましては、なんとあの仇敵のマイクロソフトへアップルが急接近しており、どうやらiPhoneに標準搭載される検索エンジンとして、GoogleからBingへの変更案が煮詰められてきているようです。もしかして、もう間もなく米国で発売されるiPadからは、グーグルが消えて、代わりにBingのマイクロソフトがタイアップしてきてるなんてサプライズだって、絶対にないとは言えない状況になってきてるそうですよ。
「究極に断言するならば、この問題の根底にあるのは、ジョブズの片想いと失恋ショックですよ。常々語られてきたのは、どうしてグーグルの奴らは、ワシの気持ちを踏みにじるんだ。なぜ裏切りをやめないのか。親友に懐の財布をすられてしまった自分の辛さを考えてみてくれ。これまで仲良く愛情すら注いできた若僧たちに、iPhoneのお株を奪うようなAndroidケータイを台頭させることを、ワシの目の黒いうちは許すことは決してできん! 両社間でヒートアップしてきている問題を説明するのに、このジョブズの一途すぎる想い以外はないんじゃないでしょうかね」
今回のインタビュー調査で、ほぼ全員の関係者が口をそろえて、このジョブズの私情あふれる開戦理由を挙げていますから、かなり問題は長引きそうですよね。だって、感情が絡んでいなければ、どこかに適当な落とし所も見つけやすいものですが、次はグーグルを直接提訴することだって辞さない構えのジョブズが、このままおとなしく引き下がるとは想像することすらできないと、周囲の皆が証言する事態となってますからね。
一方、これまた大人な対応を見せつつ、やはり全面戦争突入をも辞さないのがグーグル陣営ですよ。
「これまでアップルは最高のパートナーだった。30年以上に渡るアップルの歴史を通じての技術革新に、グーグルは会社として深い尊敬の念すら抱いている」
「エリックは今でもジョブズのことを苦々しく人前で批判したりはしていません。むしろ、ジョブズは世界でも最高のCEOであり、アップルのことは決して嫌いではないって、グーグルの社員に対しても日頃から語ってますよ」
「ラリーもセルゲイも、本当は現在でもジョブズのことを慕っているのは間違いありません。こんな険悪なムードになってしまって、そのことを非常に残念に思っているようです。できるならば、昔のような仲良い関係に再び戻りたいと強く願っているのではないでしょうか」
むむむ、なんか本当に深い深い愛憎劇の様相を呈してきましたね。それでも、実はアップルに対して一歩も引くつもりはなく、相変わらずAndroidの快進撃を止める気なんてさらさらないグーグルは、これまた上手だったりするのかもしれません。
私情を交えたバトルで消費者に不便が強いられたりするのはゴメンですけど、それにしても、今年はモバイル市場におけるアップルとグーグルのデッドヒートが加速していきそうな勢いです。あれれ、マイクロソフトさん、いつの間にやらWindows Mobileは置いてけぼりになっちゃいますよん...
[NY Times]
Kyle VanHemert(原文/湯木進悟)