開発

外部設計で決まった要件に従い、システムエンジニアは内部設計書(プログラム仕様書)を作成し、プログラマーに依頼していきます。開発そのものにユーザーが関わることはありませんが、開発現場からより詳細な仕様確認を求められることもあります。きめ細かく隅々まで要件を固めつつ、この期間にはユーザーに課せられる役割があります。

開発期間中のユーザーの仕事

システム化企画立案に始まり、慣れない要件定義を乗り越え、ホッと胸を撫で下ろしているかもしれません。「ようやく開発工程までたどり着いた!後はシステムハウスにお任せだよね?要件通りにシステムができ上がるのを待つだけだー」なんてことには残念ながらなりません。この開発期間中のユーザーには、テスト準備やマスターデータ構築などの仕事が待ち受けています。まだまだ先は長いのですよ……。

システムテストの準備

購入した物を受け取る時は、必ず商品検査を行いますよね?システムについても同様に納品されたシステムを検査しなくてはいけません。では、ユーザーとしてどのような切り口でテストすべきでしょうか?

最も根底にある切り口として、

  • 正しく入力したデータは、正しい結果が出力されていること。
  • 間違って入力したデータは、エラーとなって内部に入り込まれないこと。

当たり前のことで、漠然と感じると思いますが、枝葉の部分(画面デザインや操作性)より幹(正しいデータが蓄積される)の部分を先ずは意識してください。

これを踏まえ、ユーザーが担当する作業は「テストケース」を作ることです。考えうる入力データのパターンを全て書き出します。テストケースを用意することで、仕様のズレに気付くこともありますので、漏れがないよう実務担当者にも参加してもらいましょう。

テストケースを元に、入力画面から打ち込んだデータが、どの画面・帳票に、どのタイミングで、どのような形で出力されるのが正しいのか、データ1件毎に明確にします。数値項目であれば、小数点以下まで正確に手計算しておきましょう。

マスターデータのセットアップ

システムでは、多様なデータを保有します。システム間インターフェースやバッチ処理内部で使う蓄積データなどもありますが、ユーザーが意識すべきデータは「マスターデータ」と「トランザクションデータ」です。

マスターデータ
社員マスターや商品マスター、部品構成マスター、顧客マスター、単価マスター等々のシステムの中枢に位置するデータです。システムを動かす上で基盤となるデータの集まりです。
トランザクションデータ
毎日蓄積されて、日々更新されていくデータです。具体的には、契約(受注)データ、在庫データ、入金データ等々のデータです。

本番環境はもちろん、テスト環境を作るうえでも、マスターデータは事前に準備しておく必要があります。既存マスターがあればそのまま使うか、変換プログラムを作って移行することも可能ですが、基本的にはデータをコツコツ手入力していくことになります(データチェック処理は忘れずに!)。

要件確認・変更への対応

初めから完全な要件定義書はありません。どんなに知恵を絞っても、見落としは必ずあります。開発工程に入るやいなや、仕様の詳細や要件の隙間(未確定要件)など、確認事項が次々と開発部隊から上がってきます。必ず修正履歴(誰が、いつ、何の目的で、どこを)を残し、要件定義書の修正・加筆を行い整備しましょう。