小麦粉、米粉に次ぐ第3の粉として、大豆粉がじわじわブームになっている。大豆といえば、豆腐や納豆、味噌などに使われ、日本人にはおなじみの食材。
なぜ今、大豆粉なのか?

大豆粉とは、大豆を生のまま粉砕し、加熱せずに粉にしたもの。きな粉も大豆を使った粉だが、大豆を炒っているため、厳密には大豆粉ではない。小麦粉に比べると、糖質がずっと少なく、タンパク質、食物繊維やカルシウムが豊富。大豆イソフラボンも含み、栄養価が高くヘルシーであるため、小麦粉、米粉に次ぐ第3の粉として人気を集めているのだ。

大豆粉を販売している通販サイト、ノンシュガー・ジェイビーを運営する有限会社シープラスの滝口さんによれば、2009年の発売開始以降、大豆粉の販売数は毎年1.5倍増の伸びをみせているという。
「昨今の食生活は糖質過多になりやすく、肥満や健康面への影響を意識する人も増えてきたのでしょう。 また、雑誌などでも最近多く取り上げられており、その影響も大きいと思います」
ダイエットや糖質制限などの理由から、糖質を減らしたパンやスイーツ作りに利用する人が多いそう。

ちなみに大豆粉でパンやスイーツを作るとき、小麦粉の調理方法をそのまま利用すると必ず失敗する。
「大豆粉はグルテンを含まないので膨らみにくく、膨らませたい場合は卵やグルテン粉の力を借りる必要があるため、独特のレシピになります。また、ボソッとした食感になりやすいので、同じく糖質の低いチーズなどと組み合わせるとしっとり感も出ます」
同社では、クックパッドにも大豆粉を使った50以上のレシピを公開中。なかでも「大豆粉のチーズスポンジ」「大豆粉で作るダイエットスポンジケーキ」など電子レンジで簡単に作れるメニューが好評だという。

最近では大豆粉を使ったクッキーや麺などの製品も登場。
大豆粉を生地にしたバータイプの食品、いわゆる大豆バーのラインナップも増えている。業界に先駆けて2006年からフルーツ大豆バー「ソイジョイ」を販売している大塚製薬の担当者いわく、
「ソイジョイ発売以前から、当社では大豆を長年研究してきました。それは、大豆の健康機能がヒトの健康に貢献するという確信があったからです。また、ライフスタイルの変化で、現代人が大豆自体を摂りづらくなっているという背景もありました」
商品化にあたっては、いかに手軽においしく、大豆が苦手な人でも大豆を摂取できるかにこだわったという。
「ブームだから商品を発売するというスタンスではありません。現在の大豆粉人気が一時のブームで終わらずに、大豆がさまざまな形で定着することを願っています」
ちなみにソイジョイはアジアやアメリカなど海外でも販売されているが、ヘルシー志向の高いアメリカ西海岸などでは素材をまるごと使った「ホールフード」の人気が高く、大豆製品として定番だ。

日本の食文化を代表する食べ物のひとつである大豆。若い人たちの豆類離れが進んでいる今こそ、新たな大豆の摂取スタイルとして、大豆粉への注目もますます高まっていきそうだ。
(古屋江美子)
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